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日本町に新たな高層コンドミニアム

2017年より建設計画が発表されていた、KODAコンドミニアムの施工セレモニーが、2月28日にインターナショナル・ディストリクトで行われた。KODAコンドミニアムは、17階201室の高層ビルとして、5th Ave. S. とS. Main St.の北側角地に建設される。2018年には予約販売が開始され、完成は2020年秋頃の予定。

台湾資本の開発会社、ダリ・ディベロップメントUSAは、シアトルの住宅需要に注目し、パイオニア・スクエアにオフィスを今年オープンしたばかりだ。セレモニーには、同社の経営陣や開発投資家らが出席し、獅子舞の祝賀パフォーマンスが行われるなどにぎわいを見せた。

 

KODAコンドミニアム建設プロジェクト・チームと、トミオ・モリグチ(中央)

建設地はかつて宇和島屋1号店があった場所で、宇和島屋の前CEOである本誌発行人、トミオ・モリグチも会場で登壇。「このプロジェクトが、インターナショナル・ディストリクトに以前のような活気を取り戻す一助となればうれしい」と祝辞を述べた。モリグチは、戦前の日本町のにぎわいを知る、数少ない住民のひとりだ。

一方で、建設反対派が会場をフェンス越しに取り囲み、一部登壇者へブーイングが向けられるなど騒然とした雰囲気に包まれる場面もあった。インターナショナル・ディストリクトでは、2017年のマンデトリー・ハウジング・アフォーダビリティー(MHA)制定以来、コンドミニアム開発計画が進んでいる。

KODAコンドミニアム建設に反対し、声を荒げる人々

MHAは、住宅価格高騰の懸念から住宅需要を市内に取り組むことを目的に、シアトル市が2016年から市内各地で段階的に制定している条例。低所得者向け住宅を一定以上の割合で併設することで、ビルの高さ制限緩和などを認めるものだ。しかし、同条例で高層コンドミニアム開発が促進されて地価が上昇すれば、既存住民が押し出されるディスプレイスメントの問題を招くと指摘する声も大きい。今後、同地域がどのように変貌を遂げていくのか、注目が集まる。

 

(加藤 瞳)

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ・メディア・スタディーズ修士課程を経て、2019年より北米報知社編集スタッフ。元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。現在 シアトルまでフェリーで通勤中。