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シアトル敬老跡地にホームレス・シェルター施設 薬物使用者なども受け入れ

シアトル敬老跡地にホームレス・シェルター施設薬物使用者なども受け入れ
近隣・日系住民から不安と疑問

シアトル市とアフリカタウン・コミュニティー・ランド・トラスト(ACLT: africatownlandtrust.org)が、敬老シアトル跡地で今年10月にオープン予定のホームレス・シェルター収容施設について、9月17日にコミュニティー集会を開催した。オンライン開催された同集会に約60名が参加し、意見が交わされた。

敬老シアトルは、財政悪化から2019年9月に50年近くの歴史に幕を閉じ、閉業していた。その後、老人介護施設ビルと土地が売りに出され、一度はベルビュー所在の不動産開発業者が購入プロセスに入り285室の集合住宅建設を予定していた。しかし、同開発では跡地ビルの取り壊しが免れないこと、またマーケット・レートの高価格帯住宅が建設されることで既存住民が経済的に押し出されるディスプレイスメントの問題が指摘されて、取りやめに。その後、跡地ビルと土地は約1300万ドルで再び売りに出され、ACLTがシアトル市による資金援助を受けて購入プロセスに入った。

シアトル市が7月29日に発表したプレスリリース(https://durkan.seattle.gov/2021/07/city-of-seattle-announces-partnerships-to-open-new-shelter-spaces/)によれば、ACLTが敬老跡地で運営するホームレス・シェルターは、JustCAREプログラム(https://coleadteam.org/justcare)というインターナショナル・ディストリクトとパイオニア・スクウェア地区のホームレス問題解決のためのキング郡とシアトル市のプログラムから財政支援を受けて運営され、成人男性が対象。「JustCAREプログラムは、メンタル・ヘルス上の障害、慢性的な薬物使用、重大な健康上の問題から、他のシェルターから離れてしまい慢性的にホームレスの状態に陥っている人々へのニーズに対応する」と、同プログラム・ディレクターのジェス・ベネット氏は市のプレスリリースでコメントしている。

敬老シアトル跡地は、第二次世界大戦前には日系アメリカ人住居が多く住んでいた場所で、現在でもシアトル別院仏教会、高齢者向け複合施設の川部メモリアルハウスやウェステリア・ビュー・マナー、ワシントン州日本文化会館(JCCCW)、シアトル武道館道場などが所在している。

コミュニティー集会では、参加者から地区の治安を懸念する声に加えて、シアトル市やACLTが近隣住民や近隣団体、また市内の日系及びアジア系コミュニティーに十分な情報提供をしてこなかったことを指摘する声などが上がった。

第2回、第3回目のコミュニティー集会は、9月23日木曜日と9月30日木曜日に午後6時から午後8時までで開催予定。コミュニティー集会への参加についてや、同プロジェクトに対しての質問や意見は、シアトル市の問い合わせ先まで:homelessness@seattle.gov (Kevin Mundt)。

(室橋美佐)

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。