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マスク、ジュエリー、コロナ対策

世界中が影響を受けている新型コロナウィルス。今はまだ過渡期であり、予防や対策において、何が正解で何が間違っていたのかが本当に分かるのはまだまだ先のことだろう。

コロナ対策について色々な論調がある中で、女性がトップの国や地域は被害の抑制に成功した例が多いとの記事も多い。女性リーダーが少ないので、その功績が目立つというのもあるかも知れない。しかし、ドイツのアンゲラ・マーケル首相やニュージーランドのジェシンダ・アーダーン首相などのリーダーシップは、端から見ていてもとても心強い。日本はというと、「決断力がない、対応が遅い、主体性が無い、税金の無駄遣い(マスク配給)」など、散々と批判が上がっている内閣総理大臣と比べて、小池百合子東京都知事の潔さと力強さには、女性から見ても惚れ惚れする。そして、このコラムで注目したいのは、マスクや作業着を身に着けた装いだ。コロナの勢いが増している頃はジャケットに、様々な可愛らしい柄のマスクだった。いつからか、作業服で日々の会見をするようになった。「大阪府知事を真似ているのでは?」とも言われるが、府知事の紺色に比べて、都知事のグレーと緑の作業着。都庁職員の作業着だそうだが、政治的戦略だとしても、年齢を重ねた女性には着こなすのが難しい装いの選択だ。作業着になった分、マスクはシンプルな白い物になった。それにしても、作業着とジュエリーは相性がよろしくない。知事の装いも、作業着にあわせて目立つネックレスや大きめのイヤリングなどは無くなり、耳元はダイヤモンドのパヴェのフープらしきものや、シンプルなパールなど抑えたものとなった。東京都のトップとしての威厳と作業着のバランスとしては、この位が適切と言えるだろう。

都知事の装いの上を行くのが、ナンシー・ペローシ合衆国下院議長であろう。元々、小池都知事と同様におしゃれな女性であるが、コロナ禍でもマスクと服装のコーディネイトは完ぺきだ。濃い青のジャケットには、同じ濃さの青色と白い四角がパッチワークのようになったマスク。ペールピンクの麻のような布地のパンツスーツに白いインナー、そしてスーツより少しだけ濃いピンクのマスク。両方ともドナ・ルイスというブランドのマスクで、1つ22ドルらしい。ナンシーの凄いところは、マスクだけでなくスカーフもフェイスマスク代わりに使っているところ。スカイブルーのワンピースには白地に青模様のスカーフ。白のパンツスーツとこげ茶のインナーには、白地に茶の模様の入ったスカーフ。会見で話すときには下にずらして、首にスカーフを巻いているよう。計算しつくした服とスカーフのコーディネイト。さらに、首元がスカーフやマスクと被らないようにネックレスは着けておらず、代わりに左胸にブローチという装いが多い。耳元も小池都知事程は小さくはないが、耳たぶに沿うようなボタン型やフープ型。

ジュエリーに関しても、コロナ対策がある。まず手元。頻繁に洗うようになったが、洗う時は指輪、ブレスレット、時計は外す方が良い。特に指輪は、ウィルスが指と指輪の間に残っていることもあるので外したい。それから耳元は、マスクの着脱を日に何度もすることから、垂れ下がるようなピアスだとマスクを外すときに引っかかってしまう危険がある。耳を傷つけるか失くしてしまうか。値の張るダイヤモンドの一粒ピアスなどは、スクリュー型でちょっとやそっとじゃ落ちない様になっている。しかし大半はそこまでしっかりつかないので、マスクを外すときは耳元も意識したい。ニューヨークの病院には、カルティエ社のラブブレスレットを外すスクリューがあると過去のコラムでお伝えした。このブレスレットは付属のスクリュー無しでは外せないからだ。病院など救急の処置が施される場合、もしジュエリーが外れない場合は金属カッターなどで切断する事もあるので注意したい。きつい指輪なども万が一を用心して、コロナ克服まで大切に保管しておくのもコロナ対策の1つかもしれない。

80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。