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アート・インスティチュート・オブ・シアトル、突然の閉校

アート・インスティチュート・オブ・シアトル(AIS)の突然の閉校が、ワシントン州の教育行政機関である学生成果評議会(WASC)から3月6日に発表された。WASCによれば、AISは現冬学期終了の2週間前に当たる、3月8日に閉校することをWASCに伝えたという。AISには現時点で約650人の生徒が在籍しており、WASCのドン・ベネティ副代表は「学期終了前の閉校はさまざまな問題を引き起こすもの」と懸念を示している。WASCは3月12日・13日に、AIS在籍学生に向けて状況説明の場を設け、AISからの転校や単位移行の受け入れを表明している約30校が、突然の閉校に戸惑う学生からの相談に応じた。その中の1校、シアトル市立大学は、AISからの転校生に、学費の25パーセントをカバーできるよう奨学金を提供すると3月11日に発表した。

AISは、1946年にバーニー・スクール・オブ・アートとして開校。1982年、アーゴシー大学など多くの職業学校を経営するエデュケーション・マネジメント・コーポレーション(EMC)系列のアート・インスティチュート傘下に入った。以降、同グループのシアトル校として運営されていたが、財政難から2010年代後半に入って多くのキャンパスを閉鎖していたEMCは、2017年にアート・インスティチュートを含む複数のキャンパスをドリーム・センター・エデュケーション・ホールディングズ(DCEH)へ売却。今年1月には、DCEHもアート・インスティチュートをスタジオ・エンタープライズ・マネジャー(SEM)へ売却していた。しかし、SEMが購入リストから外したシアトル校を含む複数のキャンパスが、突然の閉校となった。

AISは、グラフィック・デザインやオーディオ制作、料理、ファッションなど多方面にわたるアート関連プログラムを持ち、多くの著名アーティストを輩出してきた。突然の閉校のニュースを受け、在籍していた学生のみならず、卒業生や多くの地元関係者から驚きの声が上がっている。

(田中美和・室橋美佐)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。