(写真:アマゾン社の創業者ジェフ・ベゾス氏 (wikipedia.org))
アマゾン社の創業者ジェフ・ベゾス氏とその妻のマッケンジー・ベゾス氏が、非営利育英事業団体「The Dream.US」に奨学金として3,300万ドルを寄付したと、同団体が1月12日に発表した。The Dream.USは16歳未満に親に連れられてアメリカに不法入国をした通称、ドリーマーの学生に学資支援を行っている。過去最高額の寄付で、この奨学金により1,000人のDACA対象者である高校生が大学に進学できるという。
DACA(Deferred Action for Childhood Arrival)はオバマ政権下で制定された移民政策で、ドリーマーを一時的に保護するものだ。一定条件を満たせば正式な滞在と就労が許可され、2012年の政策開始から約80万人が滞在資格を得ていた。しかし、トランプ政権は昨年9月14日、同政策の廃止を決定。この影響を受け、連邦政府や州の助成金や融資を受けられず、住民であっても州外授業料を適用される地域もあるため、学業を続けることが困難になるドリーマーもいた。
ベゾス氏は、アマゾン社でもドリーマーを従業員として抱え、DACA撤廃に反対を表明。自身もキューバからの移民である父親を持つ。「父は16歳の時、オペレーション・ペドロ・パン(1959年のキューバ革命後、約1万4,000人の子どもたちを亡命させた出来事)でアメリカに来た。彼は当時1人で、英語が話せなかった。デラウェアの素晴らしい団体の助けもあり市民権を取得し、これまで受けた支援から彼はアメリカに恩返しし続けている。マッケンジーと私は今日のドリーマーたちへ、奨学金を寄付できることをとても喜ばしく思う」と、The Dream.USウェブサイトでコメントを発表。これを受けて同団体のキャンディ・マーシャル代表は「ジェフ、マッケンジー・ベゾス両氏の多大な寄付に感謝いたします」と述べた。
DACA撤廃発表から早4カ月。民主党と共和党とのDACA協議は未だゴールが見えぬまま、猶予期限の3月5日が迫っている。連邦議会が代替案を作成しなければ、ドリーマーも国外追放処分の対象となる可能性がある。全米のドリーマーにとって危機的状況が迫る中、100人以上の企業リーダーたちは議会に書簡を提出。ドリーマーの法的救済をただちに求める声明を発表している。
(小林真依子)