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シアトル市議選 8月6日に予備選挙が行われ、候補者絞られる

11月5日に行われるシアトル市議会本選挙を前に、8月6日に予備選挙が行われた。今年の市議選では、定数9議席のうち7議席が入れ替わる。日系アメリカ人の母親を持ち2008年から現職に就いている第2区現任のブルース・ハレル議員のほか、第4区現任のアベル・パチェコ議員、第6区現任のマイク・オブリエン議員、第7区現任のサリー・バグショー議員らが立候補をせずに退任することを表明しており、これらの選挙区では7名から14名の立候補者が乱立。予備選挙では、各選挙区で2名の候補者が絞られ、11月の本選挙へ進む。

今年の市議選で政策論争の中心になっているのが、昨年に否決されたヘッド・タックス法案だ。年間2,000万ドル以上の売り上げがあるシアトル市内の企業に雇用者1人頭275ドルの税金を課し、その税収を市内のアフォーダブル・ハウジング(所得制限付き住宅)政策やホームレス支援に充てるという同法案は、昨年5月に9対0で可決された。しかし、アマゾンを始めとする地元企業やシアトル・メトロポリタン商工会議所などの商業団体から猛反発を受け、6月には無効に。シアトル市の選挙管理団体(Ethic and Elections Commission)の公示によれば、シアトル・メトロポリタン商工会議所が企業から集めた100万ドル以上をヘッド・タックス法案に反対する候補者へ献金している。そのほか、最低賃金、ホームレス対策予算、超高所得者への増税など、グローバル企業の成長で好景気に沸きながらも、経済格差の問題を抱えるシアトルならではの政策論争が展開されている。

定数が9名のシアトル市議会は、日本と比較して、議員数の少なさが顕著だ。たとえば、日本で人口規模が近い地方都市である熊本県熊本市で定数49名、静岡県静岡市で48名となっており、その差は明らか。ワシントン州内の小規模の市では市議会議員が無給ボランティアの場合もあるが、シアトル市の市議会議員は有給で任務に就く。シアトル市が定める議員給与は時給62ドルで、年間換算で約12万5,000ドルとなっている。

シアトル市議会選挙は、シアトル市在住の18歳以上の米国市民(市民権保持者)が投票できる。キング郡のウェブサイト(www.kingcounty.gov)にて選挙人名簿登録を受け付けている。

(室橋美佐)

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。