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シアトル市が大企業への新課税を可決

シアトル市議会は5月14日、市内の一定法人へ新たに課税する法案を賛成多数で可決した。法案は年間2,000万ドル以上を稼ぐ企業を対象にし、従業員1人あたり年間約275ドル相当を企業から徴収する。ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムなど企業の拡大による、市内の不動産価格高騰や住宅問題に対応するもの。

新税法により市内の約585企業(全企業数の約3%に相当)が課税対象となる。医療保険や公的医療制度から、少なくとも25%の支払いを受け取っている病院などの機関は除外される。市は2023年12月末で4,700万ドルの税収を見込んでおり、低所得者向け住宅の建設やホームレス支援事業などに充てる計画だ。

「ホームレス問題への取り組みとしては、ホームレスの人たちを路上から安全な場所へ移動させること、市内の公園などからドラッグに使用された注射針とその他のゴミを一掃すること、ホームレスの人たちに職業訓練など社会復帰サービスを提供していくことが挙げられます」と、ジェニー・ダーカン市長は5月16日に市のプレスリリースでコメント。新たな税収とその使途についての透明性も約束した。

本社だけでも4万人以上が勤務するアマゾン・ドット・コムの納税額は、今後1,000万ドルを上回ると見られている。同社は、議決結果が出るまでシアトル市内での新オフィス建設計画を凍結すると発表。課税案の可決後に建設計画の続行を表明したが、市議会の姿勢に対して「敵対的だ」と疑問を示した。シアトル発祥のスターバックスも反対し、議論となっていた新税法。市議会は「企業と市民、両方の立場を勘案した結果」としている。

編集ライター。金融機関で勤務の後、留学のためシアトルへ。毎日の小さな「オモシロイ」を求めて日々シアトルを探索中。テクノロジーの町にいながらアナログを楽しむ関西人。