ロサンゼルスの日系新聞社「羅府新報」が経営難に直面している。現在、オンライン購読者を増やすことにより収益増を目指しているが、状況が改善されなければ今年末での廃刊も示唆している。
同紙電子版は3月26日付でマイケル・コマイ(駒井)発行人による「羅府新報の現状」と題する声
明文を掲載。今年予測される35万㌦を含め、過去3年で75万㌦の損失を出しており、「経営が危機的な状況にある」こと、「長期的な観点に立った場合、経営を維持していくことはとても難しいのが現状」と伝えている。オンライン購読者1万人を募り、収益増を見込む。
羅府新報は1903年創刊、日系新聞社として最も歴史がある。4月30日付のロサンゼルス・タイムズ紙電子版によると、発行部数は7800部で1980年代の2万3000部から縮小、オンライン購読者は800人という。コマイ発行人の声明後、購読者が増えるなど、支援者からの反応も起きている。
ロサンゼルスを拠点とする羅府新報に対し、サンフランシスコにあった日系紙、北米毎日新聞、日米タイムズ紙は2009年に相次いで廃刊し、日系メディア関係者に衝撃を与えた。
日本語を主体としたフリー紙が数多く発刊されているなか、第二次世界大戦前、直後の日系社会に根差し、現在も経営の続く日系新聞社は数を減らしている。関連紙はその他に本紙やハワイのハワイ報知など。サンフランシスコでは現在、非営利で日米ウィークリー紙が発刊されている。
(N・A・P)