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グレン・S・フクシマ氏講演会 日米協会主催 日米貿易協定交渉にある日米間のずれを解説

ワシントン州日米協会主催の講演会が、4月26日にラッセル・インベストメント・センターで開催され、日系アメリカ人3世でセンター・フォー・アメリカン・プログレス(CPA)上級研究員のグレン・S・フクシマ氏がゲスト・スピーカーとして招かれた。フクシマ氏は、1980年代後半に米国通商代表部(USTR)で日本担当となって以来、数十年にわたり日米通商関係の専門家として活躍してきた。在日本米国商工会の会長も2期務めたほか、AT&Tジャパンやエアバス・ジャパンの取締役なども歴任している。

フクシマ氏は今回の講演で、2018年9月の日米合意で正式に再開されてから交渉が進む日米貿易協定について、日米間の認識のずれがあることを指摘。日本側が、今回の貿易協定が二国間交渉であると説明するのに対し、米国はこれを2カ国以上の国・地域間の自由貿易協定(FTA)交渉と位置付けていると解説した。さらに、日本側は2018年12月に米国不在で発効されているTPP協定の範囲を超える関税引き下げはないと認識しているのに対し、米国側は農作物の関税などについてTPP合意以上の引き下げを要求する可能性が残る点なども取り上げた。

米国第一主義を掲げ、米国の貿易赤字解消に向けて取り組むトランプ大統領は、貿易交渉においては自国の動向が 「predictable(予測可能)」でなく、「 unpredictable(予測不可能)」である方が有利な交渉ができるとの持論を展開している。しかし、フクシマ氏は、「そのようなビジネス的な考え方は国家間の同盟関係を結ぶにはそぐわない」と話す。

同講演会には、シアトルで事業を展開する日本企業の社員に加え、山田洋一郎在シアトル日本国総領事も出席。講演後には、フクシマ氏と参加者との間でさまざまな意見交換がなされた。

(小川 祐理子)

2017年上智大学卒。在学中はフランス語を専攻し、リヨンへ留学。卒業後は公益財団で2年間勤務したあと、留学する夫に付き添いシアトルへ。これまで旅した国約30カ国、訪れた日本の飲食店約750軒というほど旅行と美味しいものが大好き。