トレンドは巡るよ、何度でも
By 金子倫子
正月と春節を終え、トランプ新政権が発足してまだ1カ月弱だが、いきなり嵐の大海原に投げ出されたように感じる。新政権が掲げるAIインフラストラクチャを構築する新会社、ソフトバンクグループも5000億ドルもの投資に加わっている「スターゲイト・プロジェクト」、さらに仮想通貨業界向けの特別タスクフォースの設立。
世界は凄い勢いで動き出しているが、日本で今一番話題なのは某テレビ局の悪質な経営体制による不祥事。それを傘下に持つグループのトップは87歳だそうだ。トランプ大統領も就任時最高齢の78歳。トップに立つ高齢の男性に翻弄されているという意味では似ているのかも知れない。大多数の企業や組織が「高齢」と呼べる年齢の男性をトップに置くというのは、2025年未だに変わりなし。
数多い変わらない事の中で、ポジティブな物もある。個人的に、そのうちの一つは、婚約指輪を披露するときの、喜びと、恥ずかしさと、誇らしさを含んだ弾けんばかりの笑顔。たとえ身近な人の報告でなくとも、画面を通して見るこちら側も幸せな気持ちになるほどの幸福のパワー。
ノミネートされたゴールデングローブ賞のレッドカーペットで婚約指輪をお披露目した俳優で歌手のゼンデイヤ。子役からのキャリアは長く、ディズニーチャンネルの冠番組で知名度を上げた。スパイダーマンでの共演から交際へ発展したトム・ホーランドから贈られたリング。約5カラットのクッションカットで、ロンドンのジュエラー、ジェシカ・マコーマックという人のボタンバックリングというデザインとのこと。注目を集めた理由は、数年の交際を経たこの若いカップルの嬉しいニュースという事だけでなく、リングのデザイン。通常、縦長になる様にセットされる事の多いこのカットが、東西で横になる様にセットされている。ゴールドのバンドに銀色の金属の台座、その上にダイヤが8つの爪でしっかり留められている。当日は同時に、アンバサダーを務めるブルガリのネックレスも身に着けていたが彼女だが、31カラットのパライバトルマリンを中央に配したダイヤモンドが殆ど目に入らないほど、左手の薬指が幸せの輝きを放っていた。
これに先駆け、同じくディズニーチャンネルでの冠番組から知名度を上げ、同賞にノミネートされていたセレーナ・ゴメスも、昨年末インスタグラムにて婚約指輪を披露。ユニセフの親善大使も務め、自身の化粧品ブランドなどのビジネスでビリオネアの地位にまで登り詰めたセレーナ。贈られた指輪は、約3カラットと推定されるマーキースカットのダイヤモンドが中央に配され、バンド部分にはダイヤモンドがびっしりと配されているもの。マーキースカットはアーモンドの様な形だが、元々はルイ15世が自身の愛妾であるポンパドール夫人の唇を模すようにと委託されて制作された。縦と横の長さの比率は1対1.5から2が望ましいとされる。微妙なバランスのズレで、ずんぐりむっくりな感じにもなれば細長でシャープすぎる印象になることもあるだろう。両端が尖っているので、欠けや割れにも注意が必要だ。もちろん好みの問題なので、絶対という正解はない。
マーキースカットのダイヤ *イメージ
これを機に、東西に配されたクッションカットやマーキースカットの人気が出そうだが、過去にもこの2つを組み合わせたようなデザインの指輪が話題になった事がある。一度目は1998年に結婚したキャサリン・ゼタ・ジョーンズがマイケル・ダグラスに贈られた物。10カラットのマーキースカットのダイヤモンドが横に配されている。
そして二度目は2008年にポーシャ・デ・ロッシがエレン・デ・ジェネラスから贈られた、3カラットのニール・レーンによるデザインのリングもマーキースが横に配されている。小さなピンクダイヤモンドが葉のような、ツタのような線に敷き詰められ、バンド部分に絡んでいる。縦に配すると指の細長さを強調するが、横だと安定感があるのが利点だろう。
定期的にトレンドは巡ってくるが、いつの時代でも婚約指輪と弾けんばかりの幸せいっぱいの笑顔は不朽のコンビネーション。
婚約して間もないゼンデイヤとセレーナ。人種、移民、その他マイノリティーに関する社会的課題に果敢に取り組んでいるこの二人に、幸あれ。