文:佐々木 志峰
宇和島屋の新ブランドである「カイ・マーケット(KAI Market)」が、5月3日にオープンした。再開発で賑わいを見せるサウスレイクユニオン地区内のオフィスビル「400フェアビュー」の地上階に位置する新店舗では、シーフードを中心にアジア系の食材、デリなどを販売する。フリーウェイI5の出入り口やシアトル・タイムズ紙社屋が面する通りに位置しており、「400フェアビュー」地上階には、地元経営のカフェやバーが並ぶ。シーフードの鮮度を保つ大きな水槽など、従来の宇和島屋のイメージに新たな一面を加える店構えも注目される。絶好の立地から、昼食時のテイクアウトで大きな人気を集めそうだといった地元食品関係者の声もある。デニス・モリグチCEOも昼食時の需要に期待を寄せており、「うまくいけば、新ブランドとして店舗を拡大していきたい」と話す。
宇和島屋は、昨年にはシアトル店の隣に「パブリックス(Publix)」と呼ばれるアパートと商業スペースの複合ビルを建設。上階部分のアパート125室は、自社で運営し、現在の賃貸率は9割以上という。地上階は1万2000平方フィートの商業店舗スーペースが広がり、4月現在で、小籠包などの点心料理で人気を呼ぶ「Dough Zone Dumpling House」と、ハンバーガー店「Great State Burgers」の2店舗がリース契約を結んでいる。両店舗ともに、今年中の開店予定だ。デニス・モリグチCEOは、店舗招致について、「ローカルビジネスであれば、アジア系にこだわらない」と述べ、多様化の続くインターナショナル・ディストリクトに合わせた店の招致を進めていくと話す。同事業を担当するミエ・モリグチ氏によると、パブリックスの事業が軌道に乗り次第、脇に並ぶ青い瓦屋根が懐かしい旧宇和島屋シアトル店の区画開発も検討されていくという。今後も、次世代の宇和島屋リーダー達による新しい事業展開が期待される。