文:室橋美佐
4月21日、内閣府経済社会総合研究所(Economic and Social Research Institute Cabinet Office)が、「日本の子どもの貧困分析(研究者:明坂弥香、伊藤由樹子、大竹文雄)」を発表した。当分析は、どのような特性を持つ世帯が貧困状態にあるのかを明らかにするものだ。また、貧困リスクと子どもの高校就学の関係についても分析している。
当研究所によれば、1980 年代後半以降、『国民生活基礎調査』で計測した日本の相対的貧困率は上昇し続けており、2012 年における日本の相対的貧困率は 16.1%だという。この数字は、OECD 加盟国の平均 11.4%を上回っている 。相対的貧困率の上昇に加えて、貧困を抱える年齢層にも変化が起きているという。1980 年代においては、貧困率が最も高い年齢層は 70 歳以上の高齢者であったが、2000 年代に入って貧困率が最も高いグループになったのは10 歳未満の子どもである。子どもの貧困率が高まったのは、その親の年齢層である 20 代、30代の貧困率が高まったためであると当研究所は伝えている。
研究結果から、18歳以下の子供が貧困を抱える確率の高い世帯の特徴が明らかにされた。その特徴とは、1 歳以下の小さな子どもがいる、世帯主が女性、世帯主の年齢が低い、世帯主の学歴が低い、 子どもの数が多い、大人が一人の世帯とういことだ。世帯主が女性である場合、男性である場合よりも、相対的貧困率は 6~9%、絶対的貧困率は 4~10%高くなる。大人一人と子どもで構成される世帯は、夫婦と子どもで構成される世帯と比べて、相対的貧困率が 6~7%ポイント、絶対的貧困率が 3~5%ポイント高くなるという。貧困リスクが 高い子どもほど、高校就学率が低く、就業率が高い傾向にあるという。また、子どもの中でも、より年齢層が低い0歳から9歳までの子供の貧困確立が高いことも明らかにされた。
本研究結果の詳細は、内閣府経済社会総合研究所のホームページ(http://www.esri.go.jp/)からダウンロードして閲覧することができる。