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ミュージック・オブ・リメンバランス 20周年 日本人・日系アメリカ人の戦争体験を音楽で表現

人権侵害や迫害の犠牲者となった人々に敬意を表すための音楽を委嘱してきたミュージック・オブ・リメンバランス。同団体が20周年を記念する今シーズン、日本人・日系アメリカ人の戦争体験をテーマにするコンサートを行う。ミュージック・オブ・リメンバランス2017&18シーズンにあわせて、坂本龍一(さかもと りゅういち)氏、藤家渓子(ふじいえ けいこ)氏、クリストフ・シャニャール氏が作品を発表し、2017年11月5日と2018年5月20日にシアトルで、2018年5月21日にサンフランシスコで開催されるコンサートで披露される。
ミュージック・オブ・リメンバランス創立者兼芸術監督のミナ・ミラー氏(Mina Miller)は、「MORは音楽を通してホロコーストの記憶を残す目的で20年前に創立されました。今も創立当時のミッションが活動の根底になっています。一方で、そのミッションを通じて、我々はホロコースト以外にも迫害や除外された人々すべての記憶を音楽を通して思い起こさせようとしてきました。私たちは、今シーズンの作品を通じて、日本人の方々の戦時中の経験を共有する機会を持てることを光栄に思います」と語る。
11月5日のコンサートでは、広島・長崎の原爆犠牲者を偲ぶ坂本龍一氏と藤家渓子氏の新作が初演される。坂本龍一氏の作品『Snow Falls』は、長崎の原爆を題材にした映画「母と暮らせば」のサウンドトラックとして坂本氏が作曲したメロディーにのせ、永瀬清子(ながせ きよこ)氏の詩『降りつむ』の日本語原詩と美智子皇后陛下による英訳リリックが重ねられるもの。藤家渓子氏の作品『Wilderness Mute(荒野の沈黙)』には、広島と長崎の被曝者による詩の英訳リリックが重ねられる。
来年5月20日のコンサートでは、シアトル在住の作曲家クリストフ・シャニャール氏による『Gaman』が初演される。忍耐と威厳を持って耐え難い状況を耐えるという意味の日本語「我慢」が題名になっている同作品は、強制収容所での生活を余儀なくされた日系アメリカ人の戦時中の経験を伝えるもの。同作品では西洋クラシック音楽と日本の伝統的な音楽が協演するなかで、ミニドカ収容所で生活した3人のアーティストがその収容生活を題材に創作した絵やストーリーが伝えられる。坂本龍一氏による2作目のMOR委嘱作品になるNAMÉも演奏される。同作品は、第二次世界大戦で戦没した人々の思いに捧げるものだ。
今シーズンは、シアトルシンフォニーのメンバーで構成されるMORの室内楽アンサンブルが中心に演奏を行う。バリトン兼ナレーターのロバート・オ―ス氏、ソプラノのアン・モス氏、「太鼓の学校」の立石鈴太郎(たていし りんたろう)・あさこ氏などのゲスト・アーティストも協演する。
(N・A・P)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。