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ドニー・チン氏追悼式 射殺事件から2年

文:岡田みなみ

ドニー・チン(Donnie Chin)氏の追悼式が7月23日午後9時よりインターナショナルディストリクトにあるカントン・アリーにて行われる。チン氏は、インターナショナルディストリクト救急センターを立ち上げ長年に渡りコミュニティー内の医療活動に従事してきた人物だが、2015年に地区内のギャング銃撃戦に巻き込まれ、射殺された。

チン氏が親友のディーン・ウォング (Dean Wong) 氏とインターナショナル・ディストリクト救急センターを設立したのは1968年。それ以前から、インターナショナル・ディストリクト内で治安維持パトロールや低所得高齢者への食料品配給などを行う青年ボランティアグループを結成していたチン氏とウォング氏は、マイノリティー住民が集まる同地区への警察や消防局の緊急対応が遅いと感じていた。そこで、市の救急班が到着する前に現場に駆けつけ応急処置などをし、事件の解決に取り組んだのが同救急センターであった。指を切ったなどの小さなものから、火事や射撃事件まで、何千もの事件に対応した。応急医療処置以外にも、水漏れや停電などのありとあらゆるコミュニティー内のトラブルに応じ、一人住まいの高齢者が住むアパートを定期的に訪れて健康状態を確認するなどの活動も続けていた。

30年以上に渡りインターナショナル・ディストリクトのコミュニティーに貢献したチン氏。何百人もの命を救ってきた「ヒーロー」として慕われてきた。しかし、2015年7月23日の早朝、地区内で起きたギャングの銃撃戦に巻き込まれ射殺された。救急センターの活動として赴いた際に事件に巻き込まれた形だ。チン氏の死は、地区内のコミュニティーに衝撃と深い悲しみを与え、対応が遅れたシアトル市側へ怒りも向けられた。同事件後、シアトル警察庁は事件を最優先に調査することを発表。しかし、事件から2年経った今でも加害者は不明で未解決のままである。

追悼式はチン氏の家族が主催者となり開催され、チン氏の姉であるコニー・チン氏(Connie Chin)や、ウォング氏らが講演を行う。

関西学院大学文学部史学科3年生。IBP留学プログラムに参加し、ベルビュー・カレッジで1年間を過ごした後、日本帰国前に北米報知社で2か月間のインターンを行う。