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キング郡州議会が ゴードン・ヒラバヤシ記念イベント

文:松崎 慧

ワシントン州キング郡議会は15日、戦時中の日系人強制収容に反対した活動家・ゴードン・ヒラバヤシ氏を記念するメモリアルイベントを開催する。

ヒラバヤシ氏は、長野県から渡米し、シアトルで青果店を営んでいた父・俊吾と母・みつの間に日系二世として1918年に生まれた。地元のオーバーン高校を経て、1941年の日米開戦当時はワシントン大学在学中だった。1942年、当時の米大統領フランクリン・ルーズベルトが大統領令9066号を発令して日系人の強制収容を開始すると、オレゴン州の弁護士で日系二世のミノル・ヤスイ氏に次いでこの処置に抵抗した。

当時日系人のみに課せられていた夜間外出禁止令を破ってFBIに出頭し、「強制収容令は人間の尊厳や生存権を侵害するものだ」と裁判で主張した。当時、ヒラバヤシ氏が収監されたキング郡刑務所の「タンク(雑居房)3C」があった建物の同階は、現在のキング郡議会になっている。

当時、強制収容された12万人の日系人のうち62%は米国市民権を持つアメリカ人であったにも関わらず、彼ら全員が敵性国民とみなされ、土地や財産を奪われ、ミニドカ収容所をはじめとした全米各地の収容所に送られた。ヒラバヤシ氏自身も上告した最高裁判所で有罪判決を受け、アリゾナ刑務所に収容された。

戦後、ヒラバヤシ氏はワシントン大学を卒業し、社会学者としてカナダのアルバータ大学で教鞭を取り、アジア系アメリカ人に関する研究を行った。その後、1942年当時に米政府がヒラバヤシ氏の裁判に関連した違法行為を行った証拠が発見されたことから連邦裁判所で再審が始まり、1987年に有罪判決が覆された。2012年の死去後、戦時中の強制収容に対する反対運動が評価され自由勲章を授与された。

記念イベントは、5月15日(月)10時30分より、キング郡裁判所(3rd Avenue 516) 12階ロビーにて開催される。

 

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。