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インターナショナル・ディストリクト ゴーストサイン保護に投票呼びかけ

文:室橋美佐

シアトル市内のインターナショナル・ディストリクトが、アメリカ国内の歴史遺産保護を行う非営利団体である歴史保護ナショナル・トラスト(National Trust for Historic Preservation)が実施する「メインストリート」投票キャンペーンのシアトル代表候補地として登録された。

「メインストリート」は歴史保護ナショナル・トラストが、アメリカ国内の都市にある歴史ある商業地区を保護するために1980年から運営するプログラム。今回のキャンペーンは、アメリカン・エクスプレス社が200万ドルを協賛し、25件の登録候補地から最も多く投票を得られた地区が建築物の修繕などに必要な資金として協賛金を獲得するというものだ。インターナショナル・ディストリクトの商業地区開発組織であるCIDBIA(Chinatown-International District Business Improvement Area)は、地区内の歴史ある建築物のゴーストサイン修復保存に必要な資金確保のためにキャンペーンに参加している。

ゴーストサインはインターナショナル・ディストリクト内に存在する建物の壁に描かれた古いサインや手塗りの看板広告群。日本街にあるNPホテルの壁に見られるサインもそのひとつだ。これらのサインは19世紀末にアジア系労働者が集まる商業地区として発展したインターナショナル・ディストリクトの歴史を反映したもの。インターナショナル・ディストリクト内の一画はシアトル市から歴史保護地区に指定され、古い建築物を解体しての再開発などは規制されている。一方で、古い建物を維持するためには多額なコストが発生するため、歴史保護ナショナル・トラストなどからの資金援助が重要になっている。

投票はオンライン(VoteYourMainStreet.org/seattle)で行われており、CIDBIAがインターナショナル・ディストリクトへの投票協力を呼びかけている。また10月8日(日)には、インターナショナル・ディストリクト内にある建築物の歴史などを伝えるオープンハウスもヒング・ヘイ・コーワークス(409B Maynard Ave. S., Seattle)で開催される。オンラインでの投票期限は10月31日(火)。1日5回まで投票できる。

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。