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ワシントン州の火山

2週間ほど前になるが、カナダのバンクーバー島西沖を震源とする地震があった。10月22日にマグニチュード6.8を最大にそれに近い規模の地震が連続したという。

地震による津波の恐れはなく、被害も報告されてない。パシフィックノースウエストでは約300年前にあったマグニチュード9.0前後とされる大地震が起こる危険性があり、リスクに対する心構え、対策を各自治体やメディアが広く啓蒙している。今回の地震活動も個人的に災害対策への意識を向ける機会になった。

地表に目を向けてみると、ワシントン州を走るカスケード山脈には米国本土でも有数の火山が連なっている。ワシントン州危機管理局によると、米地質調査所が発表した米国内火山に関する最新調査結果では、もっとも危険な国内火山の3つのうち2つがワシントン州にあるという。同調査は米国内の161の火山を危険度の数値で5つに分別し、一番上の「危険度がとても高い」リストに入った18の火山にワシントン州内の4つが含まれている。

1番危険とされたのが今年大きな噴火を起こしたハワイのキラウエア火山。これに続き、ワシントン州のセント・へレンズ山が2番目、レーニア山が3番目に危険とされた。またベイカー山が14番目、グレイシャー・ピークは15番目。アダムス山は危険度が上から2番目の部類の「高い」に入った。隣のオレゴン州を見ると、フッド山が危険度で全体の6番目、スリー・シスターズが7番目にリストされている。

この評価はあくまで情報を数値化したもので、現時点で火山活動が活発化している兆候を示すものではない。ワシントン州危機管理局は、このエリアに災害をもたらす可能性のある火山の存在を理解し、リスクを知った上で雄大な自然を楽しみ、合わせて準備や対策に目を向けることが大切としている。

実際のところ「とても危険」とされたワシントン州の火山は過去200年でいずれも噴火活動があり、セント・へレンズ山にいたっては38年前を含め、複数回噴火している。火山活動や噴火の兆候など監視技術も格段に上がってきているが、いずれも生活圏は近く住民側はあくまで準備が大切。ワシントン州もウェブサイトで紹介している。

(佐々木 志峰)

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。