Home コラム 一石 訪日

訪日

ラグビーのワールドカップが盛り上がりを見せる日本。開催国としての活躍ぶりも素晴らしく、強国アイルランドに勝つなどグループリーグを3連勝。今週末のスコットランド戦次第で決勝トーナメント進出が決まる。大会も観戦チケットの販売数で180万枚に達し、静岡、大分などの試合開催地では観光面での経済効果が期待されている。

近年の海外からの訪日人数を含め、観光産業へ好材料が並ぶ。一方で観光局発表の訪日外客数を見ると、最新となる8月は約252万人だったが、前年比で2.2%減と11カ月ぶりの減少。市場の大きかった韓国からの訪日数減速が影響したという。

観光局によると、韓国から訪日旅行を控える流れは7月に起き、8月は前年比で48%減の約31万人に落ち込んだ。年初から見ても前年比で9.3%減。両国間の関係悪化が影響を及ぼしているようで、8月の国別の訪日数では台湾が追い越して2位となった。

7月に初めて単月で100万人を超えた中国は、先月に比べて約5万人減だったが、前年比で16.3%増の約100万人と2カ月連続で大台を堅持。フィリピン、ベトナム、インド、シンガポール、スペインが前年から20%以上増やした。米国は14.3%増の約12万人と好調で、年初からは前年比で12.3%増の約115万人を記録している。

この観光局が発表する訪日外客数は、日本の空港を経由して他国へ移動する人数も含めているため、「日本への訪問者」を正確に示したものとは一概にはいえないが、ある程度の目安になる。2018年は過去最高となる3119万人。目的別を見ると観光は約2777万人、商用は約180万人、その他が約163万人とある。

8月に減少が見られたが、それでも総数は昨年を上回るペースで1年の3分の2を終えた段階で2214万人。この伸びが維持されれば、今年度は3240万人を超える。

2020年は東京五輪開催年。こちらは首都東京に集中することになるが、大きな伸びが期待できるだろう。来春からは米国主要航空会社が東京の羽田空港への枠を広げ、デルタ航空からシアトル―羽田便が飛ぶ。国際情勢や各国の政治事情に世界景気。様々な要素が絡む数字となるが、果たして。          

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。