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不安な情勢

 2月1日に旧正月、3日に節分となり、暦では季節の移り変わりの時期を迎えた。日照時間が徐々に延びて夏時間も来月開始。天気予報では気温が上がり晴れやかな日々を迎えるようだ。当地の冬はまだ終わらず、こうした天候を「偽りの春」と呼ぶそうで、近々近隣の花々に「季節外れ」の開花が見られるかもしれない。

 仕事の手を休め、ふと顔を上げれば部屋に差し込む暖かな光。だが、仕事でコンピューター画面を見れば、不安になる情報やニュースが多いのも事実。

 シアトル・タイムズ紙はインフレについて取り上げていた。消費者物価指数から見た2021年の米国インフレ率は7%になり、1981年以降で最大の伸びを示した。シアトルだけで見ると7.6%で、米国の主要都市ではアトランタの9・8%に次ぐという。

 当地では1998年以降で最も急激なインフレだそうで、物価高は止む気配がない。先日も歯磨き粉を求めて向かった商品棚で、いつも手に取る品の値段に思わず目を疑ったばかりだった。

 また旧正月を迎えるにあたり、アジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)に関する最新データが各メディアで伝えられた。カリフォルニア州立大学サンバーナディーノ校の研究センターが発表した数字で、米国内の主要都市における2021年の件数は前年から4・4倍近くになったという。

 憎悪犯罪は何かのきっかけで増加してきた過去があり、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を要因に増加傾向が強まっている。NBCニュースによると、ニューヨークは30件から133件、サンフランシスコでは9件から60件へと急激に件数が増えた。

 コミュニティーで問題意識が高まったことで、報告件数が急増した部分もあるだろう。コミュニティー内外で報道や教育を通じて啓蒙活動を続け、偏見、差別への理解、認識を図ることが大切だ。

 日系社会にとって2月は歴史的に大切なひと月。情勢不安も後を絶たないが、まずは冷静に学びのひと月を過ごし、目の前の懸念を減らしていきたい。

(佐々木 志峰)

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。