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第49回 愉しいことだけをやろう

新年、明けましておめでとうございます。今年もあなたに、ワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)の世界、心から愉しくしかも儲かる商いの世界の様々な一面を伝え続けていきたい。

私が主宰するワクワク系マーケティング実践会には会員専用のアプリがあり、そこでは毎朝、365日、私からメッセージが届く。ちなみに、新年早々に送ったメッセージは「愉しいことだけをやろう」というものだ。全文を載せると、「愉しいことだけをやる、それを今年から、よりモットーにしませんか? アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアックは、68歳の今も、1分でも時間があればコンピューターをいじっているそうだ。そして、彼のモットーもまた『ハッピーで楽しいことしかやらない』だ」。

ウォズアニック氏は今でも、コンピューターを一度いじり始めるといつまでもいじっていて、眠ることすら忘れてしまうとのこと。まさに仕事と言うより遊びの様相だが、そうして遊びを続けていった
結果、世界を変えてしまったのが彼らなのだろう。

とはいえ、「それはウォズニアックさんだから言えること。ほとんどの仕事は、楽しい楽しいだけではやっていけない」と言いたくなる方もいるだろう。そんな方には、先ほどのメッセージの次の日に、会員さんたちに送ったメッセージをお伝えしよう。それは次のものだ。「『楽しい』ではなく『愉しい』、この点が重要だ。きっとウォズ氏の言いたいことも、漢字で書くとこのニュアンスの違いがポイントだろう。私はこの2つの漢字を、いつも意図して使い分ける。そして「愉しい」ことは「楽(らく)」とは限らない」。愉しいことをやるからといって、うまくいかないときももちろんある。しかしそんなときも、「愉しいことだから乗り越えられた」とウォズ氏も言う。

そしてもうひとつ大切なことを言おう。私がもう25年以上、「愉しいことだけをやろう」と言い続けている理由は、そうすれば実際に人生が「愉しい」から。そだけでなく、そうでなければこの時代、生き残れないと思っているからだ。昼夜を惜しんでやりたいことでなければ、1分でも時間があればやりたくなるようなことでなければ、どうやって、今後もずっとお客さんを魅了し続けていけるだろう。どうやって、常に世の中から「価値ある」とみなされるものを提供し続けていけるだろう。この変化の激しい時代に、価値あるものであり続けることは簡単ではない。しかしそんなことも、愉しいことだから乗り越えられる。

2019年、今年は昨年よりもっと大きく激しく世界は動くだろう。あなたは、この激烈な時代を生き残れるか。今年は、色々な意味で生き残りをかけた年になるが、それを乗り越えられるのは、愉しいことだからこそなのである。

小阪 裕司
山口大学人文学部卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。「人の心と行動の科学」を基にした独自のビジネス理論を研究・開発し、2000年からは、その実践企業の会を主宰。現在、全都道府県および北米から千数百社が集う。