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リオ五輪

夏季五輪リオデジャネイロ大会がいよいよ始まる。5日を開幕日としているが、サッカーなどはすでに戦いを始めている。

工事遅延などによる交通網整備の問題、ジカ熱の問題、ロシア選手団のドーピング問題など、大きな論争を呼んだ大会前だが、いざ開幕となれば、スポーツの祭典として本領を発揮することだろう。

世界各地から大手メディアを中心に取材陣が足を運ぶだろうが、ここは、本紙と同様に日系社会に足を付けた日系新聞社「ニッケイ新聞」など地元メディアの扱う記事にも注目したい。南米初の大会となるが、日系社会の大きな同地だけに様々なユニークなエピソードを見ることができそうだ。

ウェブサイトの1記事をみてみると、シアトル・ストームで活躍し、日本女子バスケットボールチームの中心選手となる渡嘉敷来夢選手が掲載されている。つい最近までシアトルの身近な地にいた選手だけに注視することになったが、記事の内容は日本選手団をサポートするブラジル関係者を焦点に、渡嘉敷選手の隣に写る通訳を取り上げたものだった。

その通訳は元サッカー選手で日本のJリーグで長年にわたり活躍を見せてきたマルセロ・バロン・ポランクジックさん。記事によると日本語を流ちょうに使い、チームのサポートを積極的に行っているという。バロンさんはプロ選手として様々な日本のチームに所属、各地域でのコミュニティーの暖かさもあり、日本への貢献を買って出た。こうしたネットワーク、橋渡しがあるのも交流のある国同士の強みだろう。

その他にも開会式を支える人々、日本選手団を支援するコミュニティー関係者といった「周り」を扱う記事が多い。本紙と同様、日系紙の状況は厳しいだろうが、2014年のサッカーW杯に続く一大イベントを起爆剤に良記事を配信してもらいたい。

2週間強という短い期間。最高峰のアスリートたちの戦い、新たなスポーツのヒーロー出現といった話題以外にも、コミュニティーならではの興味深いストーリーにも注視してみたい。

(佐々木志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。