英国にとっておめ でたいイベントが盛りだくさんとなる2018年。ハリー王子のいとこにあたるユージーニー王女も正式に婚約し、10月12日に結婚式が執り行われる予定。ロイヤルベビーもまた誕生するし、エリザベス女王も大忙し。
英国王室の話題はこのコラムでも何度となく取り上げているが、基本的に略称を使用しているので、その旨承知いただきたい。話は戻るが、エリザベス女王にとってユージーニー王女は、次男アンドリュー王子の娘なので孫にあたる。それにしても、意地悪な見方をすると、「わざわざ今婚約発表というのは?」という気がしなくもない。
ハリー王子が婚約を発表してまだ2か月弱。このタイミングでの婚約発表は、自分も注目されたいわがままプリンセスという印象が残ってしまう。実際、現時点での王位継承権5位のハリー王子と8位のユージーニー王女。ただ、ウィリアム王子に第3子が誕生予定なので、継承権のランクが2人とも1つずつ下がる。それはさておき現時点でユージーニー王女が王位継承権8位とは、ロイヤル中のロイヤルだ。ハリー王子の婚約者であるメーガンさんは一般人のみならずアメリカ人。何だか既に前途多難な雰囲気。
この婚約報道劇を斜に見ているのは私だけではない。2人の婚約指輪に注目が集まり、ユージーニー王女の指輪の方が3倍の値がつくとか何とか。実際、宝石の鑑定というのは、目から10㎝程の距離から10倍のルーペで見て行う。望遠カメラで撮った報道陣の写真からはあくまでも大体の事しか分からないし、まして比較できるほど単純なものではない。ユージーン王女の婚約指輪で確実なことは、楕円形のパドパラージャ・サファイアが中央に鎮座し、その周りを8つの丸と2つのペアシェイプと見られるダイヤモンドに囲まれた、バンド部分はイェローゴールドのリングであるということ。パドパラージャ・サファイアの事はこのコラムでも以前触れたことがある。前にも書いたが、サファイアは無色透明から黒まであり、青いものをサファイア、赤いものをルビー、それ以外はイェローサファイアやグレーサファイアなど○○サファイアと呼ぶ。このパドパラージャはスリランカの公用語の一つであるシンハラ語で蓮の花を表す言葉。ピンクとオレンジが同じぐらいの強さである色味でなければならない。これがすごく微妙なさじ加減で、オレンジが強ければオレンジサファイアとなり、ピンクが強ければピンクサファイアとなってしまう。オレンジのようなピンクのような。どっちともとれるぐらい、この2色が同じぐらいの強さでなければならない。サファイアの学術的な言い方であるコランダムは、酸素とアルミニウムから形成されているが、それにほんの少しの鉄やクロム元素が混ざり、その他の条件も上手く重なったときにあの色が生まれる。
あるゴシップ誌ではユージーニー王女の方がメーガンさんのダイヤの指輪の3倍の約25万ドルの値が付くとあったが、大きさや色味から見てそれ程高くはないだろう。写真が正面ではなく斜めからなので正確ではないが、パドパラージャというには色のバランスがピンクに偏っている様に見える。ただ色石は正面から見たときに最も美しい色味にカットされるので、正面からはもっと理想的な色味かも しれない。
(金子倫子)