シアトル市は、ノースゲート・モール近辺の再開発プロジェクトの概要を6月に明らかにした。2021年のリンク・ライト・レールのノースゲート駅開業をめどにエリア一帯が新しく生まれ変わることになりそうだ。
ノースゲート・モールは、第二次世界大戦後のアメリカ初の現代的な大型ショッピングモールとして1950年に開業した。オープンエリアにデパートや専門店、飲食店などが集合し、顧客向けの大型駐車場と公衆トイレを併設するショッピングエリアが「モール」と呼ばれるようになるきっかけとなった。しかし、2018年に入り、デパートのJCペニーが、続いてメイシーズが次々にノースゲート・モールからの撤退を発表。メイシーズにいたっては発表時に予定していた2020年の閉店を2019年に繰り上げた。さらにノードストロームも2019年の8月に閉店した。これらの相次ぐ閉店の背景には、2021年に開業するリンク・ライト・レールのノースゲート駅開業に合わせて進められている同エリア一帯の再開発がある。
ノースゲート・モールのオーナーであり、再開発プロジェクトの筆頭リーダーであるサイモン社とシアトル市の発表によると、このエリアは、リンク・ライト・レールの駅を中心に、オフィス・住居・小売店・レストラン・フィットネスセンターなどを併設した複合施設エリアへと生まれ変わる予定だ。また、交通の利便性を生かして歩行者にとって歩きやすい街づくりを目指す。主要となるエリアだけで130万平方フィート(12万平方メートル)を超える広さで、シアトル市が設計条件として定めているオープンスペースの広さをはるかに超えた、約31万平方フィート(2万9,000平方メートル)のオープンスペースが含まれている。また、注目すべきは、このエリアの中心となる約27万平方フィート(約2万5,000平方メートル)ものメイシーズ跡地にアイススケートリンク3面を持つ公共アイスセンターが創設される計画である。ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)用のリンクやトレーニング施設に加え、一般利用できるリンクも設置。1年を通してイベントやアクティビティー向け施設として開放する。未来型の公園としても機能させ、健康的なライフスタイルを提案したいとしている。
リンク・ライト・レールのノースゲート駅が開業すれば、ダウンタウンのウエストレイク駅からの所要時間は約14分。1日約2万2,000人がノースゲート駅を利用すると見込まれている。交通の便利さに加え、アイススケートリンクや駅周辺の再開発エリアが新たな魅力として加われば、ノースゲートはシアトル市北部コミュニティーの中心として、さらに活性化しそうだ。
(坂元小夜)