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海外邦人数

日本外務省が国外に3カ月以上在留し日本国籍を持つ人口推計をまとめた「海外在留邦人数調査統計」を発表している。各年10月1日現在の推計で、2020年度の統計は2019年10月1日現在のものとなる。統計は在留届を基礎資料とするが、日系企業、日本人会、大学、研究機関、各種学校などにも調査協力を得たとある。

 推計人口は141万356人。前年から約2万人増え、統計が開始された1968年以降で最多となった。永住権を持つ「永住者」は51万8883人で、前年から約1%増だった。

 地域別では北米が約37%にあたる51万8755人。1985年から最多を維持しているが、前年と比べると約0・3%減だった。アジアは1万あまり増え、全体の約29%にあたる41万4380人となった。

 国別となると、米国が44万4063人で全体の約31%を占める。それでも、毎年少しずつ人数を増やしていた近年と異なり、前年比は0・6%減だった。2位の中国は3%減。近年の減少傾向は変わらず、12万人を切った。

 着実に数を伸ばすオーストラリアは5・3%増で10万人を突破しており、近く中国を上回る可能性もある。3年連続で人数を減らしていた6位英国が9・2%増。8位韓国は前年から15・9%と大幅増だった。

 都市圏ごとに見ると、これまで順調に人数を伸ばしていたシアトルは1万1355人で前年から約2千人、14・9%の大幅減だった。都市別順位では17位から21位になった。ロサンゼルスが1位で6万8595人、ニューヨークが4位で4万496人。近隣ではカナダのバンクーバーは8位で2万7962人、ポートランドが36位で5743人だった。

 米国都市圏ではサンフランシスコ、サンノゼ、ダラスが人口を伸ばしている。一方でシアトルに加え、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、サンディエゴ、ヒューストン、アトランタ、ポートランドは人数を減らした。

 新型コロナウイルスの影響を元にした数字は2021年度の統計に出てくると思われる。また人数を大きく落としたシアトルの推移も興味深い。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。