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冬の情勢〜一石

 新型コロナウイルスの新しい変異ウイルス、オミクロン株が世界中で影響を及ぼしている。日本政府も水際対策を強化し、感染者が出たワシントン州も日本入国後3日間の「停留」措置対象となった。年末から日本に一時帰国する知人関係者もいる。状況変化に神経を尖らせる日々が続く。

 新型コロナウイルスの感染者数が増えていく中で開催された東京での夏季五輪を終え、今度は2022年冬季五輪の北京大会が開幕2カ月を迎えた。その中で中国の人権問題など高まる国際緊張の外交手段として、バイデン政権が北京大会の行事に政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を発表した。

 14年の冬季五輪ソチ大会ではロシアの反同性愛法を非難し、当時のオバマ政権が閣僚レベルの高官に代わり、代表に同性愛者を公言するスポーツ選手を選んだことがある。選手団を含めた完全な参加ボイコットになると、米国や日本などの西側諸国による1980年の夏季五輪モスクワ大会や、ソビエト連邦(当時)などが対抗措置に出た84年のロサンゼルス大会が記憶に新しい。

 五輪関連競技のシーズンも開幕し、各大会が北米で五輪前に予定されている。オミクロン株の影響でフィギュアスケートのグランプリファイナルが中止となるなど、一年延期された東京五輪同様に選手たちは状況に左右されながらの難しい調整を迫られる。また表面化する人道問題に対し、五輪を中心としたスポーツ界はどのような行動を示していくだろうか。

 この冬といえば、米海洋大気庁の気候予測でノースウエストは例年より気温が低く、雨量は多いとされている。強風の嵐にも見舞われ、11月までの3カ月でシアトルの雨量は1945年以来で最多を記録したという。実感としてこの予測は当たっているが、一方で地域差もあり、隣州のオレゴン山間部では雪不足に見舞われているとのニュースがある。

 社会、経済、外交、科学、自然——。すべてが交わる一生活で心配事は尽きない。残り一カ月弱。どのように今年は締めくくられるだろうか。

(佐々木 志峰)

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。