ネット購入の際注意すべき点とは
By 金子倫子
例年通り、気付けば1年がすでに終盤を迎えている。政治も世界情勢を見ても、不安は濃くなるばかりだが、こんな時こそ気分が上がる物のことを考えて、憂鬱を吹き飛ばそうではないか。
最近投資関連のニュースでよく耳にする「マグニフィセント・セブン」という言葉。皆さんがこの単語を聞いて想像するのは、名作映画『七人の侍』『荒野の七人』、それともやはり、米国株式市場を代表するテクノロジー企業7社だろうか?
私にとって「マグニフィセント」で思い浮かぶのは、サザビーズやクリスティーズなどのオークションハウスが主催するオークションの中でも特に最上級のジュエリーが集う、年末の「マグニフィセント・ジュエルズ」。今年はクリスティーズが12月10日、サザビーズは12月11日に開催される。各ウェブサイトでは、出品されるジュエリーの詳細や予想価格などを前もって観覧することができる。ジュエリーの写真は拡大して見ることができ、ワクワクが助長される。もちろん当日は、ライブオークションの視聴も可能。
非現実的な、数十億円もするようなジュエリーを眺めるのと同様に、より身近なオンラインのオークションサイトを見るのは楽しい。けれど今回は、前回前振りをした、オンラインでダイヤなどを購入する際、〇〇ブランドの立て爪のダイヤモンドリングと表記があっても、〇〇ブランドで購入されたダイヤモンドでは無いかもしれないという話。某オークションサイトで実際に出品されている例を使って注目すべき点を説明しよう。
例1:1・02カラット85万円のA社のダイヤモンドリング。リングの内側にはブランドロゴと1・02という刻印。これ以外の証明書等や購入時のレシートも無し。こういったケースは最も避けるべき。
例2:1・05カラット92万円のA社のリングで、内側にA社の刻印付き。A社の鑑定書も付いており、ダイヤモンドにもレーザーでA社のシリアル番号が刻印されている。そしてその番号と鑑定書に記してあるシリアル番号が合致している。これはこのダイヤモンドがA社で購入されたという最も信頼性の高い証拠といえるので、安心して購入できる。
例3:1・15カラット160万円のB社のリング。内側にはB社名と1・15ESI1という刻印。第3者機関であるGIA(Gemological Institute of America)の鑑定書が付いており、ダイヤモンドのグレードも刻印と相違ない。B社独自の鑑定書は無いが、B社名の入った販売証明書があり、そこにはダイヤモンドのグレードが記載されている。リング内側の刻印、鑑定書、販売証明書の内容が全て合致しているので、この事からも間違いなくC社で購入された物だと言えるだろう。
例4:1・15カラット272万円のC社のリング。内側にはC社のロゴの刻印。GIAの鑑定書と、C社名の入った信頼性証明書も付いている。この証明書には、「このジュエリーは間違いなくC社が製造したもの」という文言のみで、ジュエリーの形状やダイヤモンドについての記載は一切ない。一番警戒が必要なのは、この様なケースである。
GIAの鑑定書が付いている場合、純粋にダイヤモンドとしての価値はある。しかしC社で購入されたダイヤモンドかどうかは不透明だ。
どういう事かというと、リフォームやその他の理由で、C社の様ないわゆる一流ブランドと言われるジュエラーの刻印が入った枠(リング、ペンダント、その他)が元々の宝石と分離されるとする。そしてその枠に別の石をセットして、C社の物として販売するという事が可能で、実際こういった例が一般のオークションサイトでは見受けられる。
GIAは第3者機関なので、鑑定書は中立なものである。ただ同じグレードのダイヤモンドでも、地域の小さな宝石店で購入するよりも一流ブランドで購入すれば付加価値分高くなる。例4の場合、ダイヤモンド自体とC社を結びつける証拠が無いのに、正規にC社で購入するのと同じくらい高額で出品されている。これらの理由から、この様なケースは避けた方が良いというのが結論だ。
ただ、付加価値部分は不透明でもダイヤモンドとしての価値はあるので、それが市場価格として適切かどうかで判断し、購入するか否かを決断するのが妥当だろう。
それでは皆様、メリークリスマス、そして良いお年を!