5月はアジア太平洋ヘリテージ月間。シアトルセンターでは1日、フェスタルの一環として、アジア太平洋系文化団体による文化祭が開かれた。
オバマ大統領も声明を発表。アジア太平洋系米国人(AAPI)の人口増加率は米国全体の増加率の4倍の伸びを見せており、社会において大きな立ち位置、役割を担っていること、歴史的にも中国人の排斥、日系人収容所など様々な困難を経て現在に至ることなどを述べている。
AAPIは現在も人口割合で多くが英語に不自由を抱える。結果として、人口の割に社会で大きな能力を発揮しているとは言い難い現状がある。多数に及ぶ文化背景もあり、学歴や収入を含め、個人格差も大きいのも特徴だろう。
当地非営利団体ACRSは4月末、AAPIの選挙参加を促すキャンペーンの広報活動を行った。活動支援の中心人物の1人となるゲイリー・ロック前駐中米国大使は、州知事時代を振り返り、AAPIによる集会が開かれれば、議員は必ず耳を傾けるなど、コミュニティーの影響力があったことを明かす。
大きな人口を抱え、一大勢力を誇るAAPIだが、選挙を通じた政治関係、自ら訴えて社会を動かす連携はまだ不足しているとされる。選挙人登録の割合、投票率は、依然として低いという。
その中で日系人は「優秀」とされ、社会的地位もある程度高く、選挙参加も多人種に比べて非常に高い数字を誇っている。
一方で現在新しい人口層を作る日本からの移民「新一世」はどのような変化を与ることができるだろうか。一般にExpatと呼ばれる海外移住者だが、日本の時代背景もあり、若い世代は政治的意識に強いとは必ずしも言えない。
ACRSによると、地元非営利団体などの活動に関わることが政治意識を高める一助になるという。コミュニティーが、また自らが何を求めているかを発見することにつながる。アイデンティティーの理解、AAPI同士の連携にも繋がるという。
当地はユニークな土地柄で、APIIの連携が非常に強いコミュニティーを持つ。自分たちのヘリテージを大いにアピールする。AAPIの地位を高めるため、我々のような新しい移住者の参加、活動が求められている。
(佐々木志峰)