「アマゾン・ゴー」を一般客向けに正式オープンした。画像認識や人工知能(AI)の技術が使用され、「棚から品物を取って歩いて外に出るだけ」で会計が済む。2016年12月から従業員を対象に使用試験を重ねていた。
アマゾン・ゴーは、専用アプリを起動したスマートフォンをかざして自動改札のような入口から入店。天井や棚に取り付けられたカメラやセンサーが、来店客がどの商品を手に取ったか把握し、アマゾンの通販サイトに登録したクレジットカードで自動決済される。
家族や友人も一緒に入店することができ、1度手に取ったものを棚に戻した場合もセンサーが感知する。店舗にレジはなく、店員は入口で案内するスタッフ、技術的な質問に答えるスタッフ、商品の陳列スタッフと調理スタッフのみだ。
陳列棚には店内で作られたサンドイッチや弁当、飲み物、菓子、冷凍食品などパッケージ商品が並ぶ。レシピと必要な材料が全てそろった同店オリジナルの「ミール・キット」は、2人分で調理時間30分のうたい文句で注目を集めていた。また、同社が昨年買収した高級スーパー、ホール・フーズ・マーケットの商品も見られた。
店に訪れていた会社員男性は、「レジに並ぶ煩わしさがないのは魅力的。仕事帰りに気軽に立ち寄れるので、今後も利用したい」とコメント。キャッシャーレスの実現で人件費の削減となり、商品の低価格化も見込まれるため、消費者にとってメリットは大きい。
一方で、労働者や小売業者にとっては脅威となり得る。今後レジなしシステムが普及すれば、レジ係として働く人々の雇用を奪いかねない。小売業界はこれまで価格競争が繰り返されてきたが、最先端の技術を活用したアマゾン・ゴーの登場は、既存業者にとって新たな挑戦となりそうだ。
文:小林真依子