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失われたコミュニティー 再形成と持続可能性 三菱特別講演で討議

今年度のワシントン大学日本研究学科による三菱特別講演の一環として、13日と14日に日本のサステナビリティをテーマとした講演会、パネルディスカッションが開かれた。

13日にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校建築学部の阿部仁史学部長が基調講演。14日には同教授に加え、ワ大からケン・オオシマ教授、ケイト・スターバード助教授、アンドレア・アライ講師、三菱商事から東北復興支援チームの中川剛之リーダーが、それぞれの活動や研究の視点から、東日本大震災の被災地や日本における持続可能なコミュニティーの姿について考察が行われた。

阿部教授は、東日本大震災後に、教授が建築家として行った復興活動をプレゼンテーション。震災によって失われた地元民同士のコミュニティー、人と人のつながりの再形成を建設デザインで模索していく内容が紹介された。

東日本大震災から間もなく5年を迎えるにあたり、これまでの活動を振り返るだけでなく、浮き彫りになりつつある課題にも目が向けられた。

特に失われたコミュニティーの再形成に問題を向けており、高齢化の進む東北地方の課題や社会の疎外といった課題に対処できる建築アイデアを通し、持続性のある復興支援を進めていく必要性が語られた。

また中川氏からは震災後4年で約1億㌦、今後5 年も約3500万㌦の復興支援金を通じ、若者の奨学金やビジネス、雇用、コミュニティー再生に取り組む三菱商事の活動が語られた。アライ講師からは、今後の持続可能な社会づくりの一例として、地方における若い世代のコミュニティー作りや貢献が、東北復興における可能性の一つとして紹介された。

同講演は今学年度の三菱特別講演シリーズの2 回目となる。4 月にも日本から建築家の隈研吾氏を招待、2020年の未来を見据えた日本の社会づくりをテーマとした講演、パネルディスカッションが開かれれる。詳しくはhttps://jsis.washington.edu/japan/ まで。

(N・A・P)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。