シアトル市のエド・マレー市長を含めた当地使節団が中国、日本を訪問する。今週初めから中国に滞在しているが、地元ボーイング社、マイクロソフト社、アマゾン社、コストコ社、デルタ航空、アラスカ航空といった企業、政府経済貿易、学界関係者が多数参加するそうそうたるグループのようだ。
対して日本は香港、上海などを訪問したあとの15日から17日に滞在。神戸と東京を訪問するという。経団連や観光業関係者との会合、神戸の航空関係企業への訪問が予定されているが、姉妹都市神戸との関係強化、同性婚を初めて認めた渋谷区長との面会など、「文化面」の側面も大きい。
今週号でオレゴン日米協会の黒崎美生会長の取材記事を掲載しているが、約30年前であれば、中国へ大挙訪れた使節団は日本に向いていただろう。
姉妹都市を含め、日米両国が成熟した関係にあるという見方もあれば、今のアジア情勢、日本の経済状況をしっかりと表したものともいえる。
日本としては、文化や長い信頼関係を背景に、大きくないながらも常に斬新、革新を軸にビジネス構築を図る方向となるのだろうか。3月末にシアトル日本商工会のセミナーで講演したクレアブ株式会社の土井正己社長が語っていた日本の将来のあり方に近いといえるかもしれない。
近年、日本からの広報活動はこの数年で依然と比較的にならないほど向上した。これはメディアとして、満足度は別に確かな実感がある。日本から発信される情報量やイベント数などは、質、量ともに増したといえるだろう。
シアトル国際映画祭でも日本関連映画は多く上映されるが、その中でも旧築地市場を通じた日本の食文化に焦点をあてた『Tsukiji Wonderland』が注目されている。
今年11月に閉場し、豊洲新市場へ移転をする、世界最大の魚市場・築地市場を追った作品。築地市場に初めて1年に渡り撮影が許可され、これまでに知られることのなかった築地市場の真の姿を描き、世界が注目する日本の魚食文化を紹介するという。今映画祭上映がワールドプレミアとなる。
知人に聞けば、日本への海外訪問者の多くが築地市場へ興味を持つという。日本よりも海外で価値が高まる場所、文化、情報はまだ数多い。海外にいる我々も日本の魅力発見に協力したい。
(佐々木志峰)