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シアトルがワースト9位の空気汚染都市に

全米肺協会(American Lung Association)は4月24日、2019年の全米における空気汚染状況レポートを発表した。シアトル-タコマ地区は、最も汚染された都市の第9位。第1位はカリフォルニア州ベイカーフィールドで、カリフォルニア州の都市が上位多数を占めた。ワシントン州では第6位にヤキマ郡、第15位にスポケーン郡もランクイン。原因としては、近年の異常気象によって増加している森林火災の影響が指摘されている。一方で、同じ州内でも、ベーリングハムは全米で最も空気がきれいな都市のひとつとして評価された。

調査は、空気中のPM2.5濃度の年間平均、短期間に上昇した高濃度のPM2.5レベルの平均、大気中のオゾンガスの状況による汚染度を比較した3分類で行われた。これらの記録は2015年から2017年の3年間で測定されたもの。シアトル-タコマ地区、ヤキマ郡、スポケーン郡は、短期間のPM2.5濃度レベルを比較した調査でのランクインとなった。今回の調査では多くの都市において、PM2.5とオゾンガスのレベルが以前より悪化していることが明らかとなり、ヤキマ郡とスポケーン郡を含む8都市においては20年間の観測史上最悪を記録した。

PM2.5の発生は山火事や石炭による火力発電、ディーゼル・エンジンの排気、そして薪ストーブなどさまざまな要因が挙げられる。非常に細かく、マイクロ・レベルの粒子のPM2.5は、肺の深部や血流に入り込む可能性があり、ぜんそく発作や心臓発作、肺がんなどの健康被害を引き起こす要因となり得る。オゾンガスによる汚染は一般的に光化学スモッグなどの要因として知られており、自動車や工場からの排出物が原因。PM2.5同様にぜんそくや、慢性の気管支炎、肺機能の低下など呼吸器に影響を及ぼす可能性がある。

全米肺協会はアメリカで1億4,000万人以上が、健康被害を伴うレベルの空気汚染環境の中で生活していると発表し、昨年の調査より720万人増加していると指摘。これは、全米人口の10人のうち4人以上に相当する。全米肺学会西部支部のアリソン・ヒッキー副会長は、「異常気象による森林火災の影響から、ピュージェット湾地区の住民は大気汚染環境の中で暮らし、健康被害どころか生命の危険さえあるのが現状です。私たちは事実と向き合う必要があります。しかし、米政府は環境問題で誤った方向へ舵を切ろうとしているのです」と、警鐘を鳴らしている。詳細はウェブサイト(www.lung.org)にて。

(加藤 瞳)

 

 

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ・メディア・スタディーズ修士課程を経て、2019年より北米報知社編集スタッフ。元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。現在 シアトルまでフェリーで通勤中。