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マイノリティーに負担大  シアトル就労調査結果

シアトル市は19日、市内にある小売店と食品業界の就労スケジュールに関する独自調査を発表した。調査結果は今年の5月に市議会とエド・マレー市長によって調査機関に委託された。様々な業種の就業者や経営者からの回答を受け、就労スケジュール問題、シフトの間の休憩時間、事前のシフト変更など幅広い結果が集約されている。発表はサービス業界の就労者と経営者にとって、より持続的な就業スケジュールを構築することを目的としている。

マレー市長はこの発表を受け、「報告書がシアトルのサービス業界で働く就労者と経営者の直面している問題の理解につながり、新しいガイドラインを提供することに役立つことを望みたい」と話した。

回答結果によると、シアトルの多くの就労者が高い満足度を抱いている反面、半数近くが一週間前に知らさせる就業スケジュールを守るため、20%の賃金を失っていることが分かった。就労者にとって、予想外のシフト変更で家族の負担を含む経済面で深刻な影響を受けている。

また、70%の就労者が連絡手段に電話を使っており、多くの就業者は就業開始6時間以内の知らせを受けていた。

より深刻な影響は特にマイノリティーグループからの回答に見られる。アフリカ系、ラテン系の1/4就労者は、仕事のスケジュールによって子育てに影響が出ていると回答している。スケジュールが子育てに与える影響が深刻と回答した白人は5・5%だったのに対し、アフリカ系は11・1%だった。

毎月の請求額支払いに関しては、深刻と答えた白人が8・5%なのに対し、アフリカ系は18・9%、ラテン系は17・8%だった。詳細を見ると一週間以内のスケジュール宣告を受けているアフリカ系は65・7%にものぼり、白人の38%と比べても極めて高い。宣告が短くなるほど、予算や副業、子育てなどを考慮する上で困難を迫られることもある。

今回の調査は、マイノリティーグループに焦点が当てられ、英語、アラビア語、中国語、ソマリア語、スペイン語、ティグレ語、ベトナム語などへの翻訳とともに行われた。インタビューには千人以上の就労者と500人以上の経営者が協力した。

市議会のリサ・ハーボード市議は、マイノリティーグループの住民が、就労スケジュールに問題が集中していることに対して懸念を示している。

市長オフィスと市議会は8月末までにレポートの発見点をまとめ、スケジュールの法令を作成するために市議会に送る予定だ。

(大間 千奈美)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。