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沖縄県人会 鼓衆、当地で活躍 「エイサー」の掛け声とともに

シアトルも毎年の恒例行事、夏祭りの開催が集中する季節を迎えた。屋台や盆踊りなど、さまざまな訪問客が集まる各地域のイベントでダイナミックな演奏を見せる太鼓集団がある。独特の穏やかさと迫力の緩急を持つ琉球芸能を披露する沖縄県人会太鼓クラブは結成9年目。今年7月からは沖縄の浦添市を拠点に置き、県外や海外でも活躍する親団体「鼓衆 若太陽(ちじんしゅう わかてぃーだ)」の名前をとって「沖縄県人会 鼓衆」となった。

同会をまとめてきたマヤ・スレイタムさんは結成当時、「沖縄の歌には興味がなかった」と振り返る。偶然に訪れた県人会の集まりで誘いを受け、県人会の副会長を務めることになった。「自分の島(沖縄)のためになにかしたい」と思いはじめ、過去にも結成しては解散を繰り返していた太鼓グループの再結成に乗り出した。「今ではエイサーを聴くとわくわくする」と話し、移動中の車内にも沖縄音楽が流れていた。

同団体はオリンピア、オークハーバーなどピュージェット湾各地で活動している。メンバーは沖縄出身者だけではない。興味がある人は誰でも参加でき、オークハーバーには十数人のメンバーがいるが、その中で沖縄出身者は一人だけという。 

タコマで月に一回行われる合同練習に全員が参加することは難しいが、それぞれの地域から何人か参加するように呼び掛けている。オンラインで練習映像も発信しており、各人の予定に合わせ練習している。

夏祭りや学校での披露に加え、シアトル・マリナーズのジャパンナイトで出演経験もあるパフォーマンスは、太鼓の部、三線の部、踊りの部、獅子の部など沖縄の伝統文化が多彩に詰まっている。現在メンバーは58人で年少は太鼓の部の3歳から、踊りの部はシニア層が活躍しており、80歳のメンバーもいる。子供には年長の学生が撥(ばち)の持ち方から太鼓を教え、シニアは一世代下に踊りを教える。世代を超えた練習場にはエイサーの掛け声であるフェーシが行き交っていた。

「2年前、パフォーマンスを見て涙が出た」という昨年大学を卒業したばかりのエバン柳田さんと、沖縄出身で留学中の宮里七海子さんが現在は練習指揮をとっている。練習中はウチナーグチ(沖縄言葉)、日本語、英語などが混ざりあい、子どもからシニアまでをまとめるのは一苦労といった印象を受けた。

だが二人に苦労を聞くと、ただ「楽しいです」という答えが返ってきた。指導中は細かく丁寧に教えている二人もパフォーマンスとなると一変。その迫力に圧倒される。

二人は来月から始まるシアトルでの練習も指揮をとる予定。練習は第二、第四月曜日、午後5時からワ州日本文化会館で行われる。現在参加者を募集中。詳しくは miaslattum@yahoo.com まで。

(記事・写真 = 大間 千奈美)

取材後記

筆者が練習を見学しに行った際に、「いちゃりばちょーでー」と言うウチナーグチを教わった。「『会えばみんな兄弟』という意味なの。何か困ったことがあったら兄弟だと思って甘えてね」

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。