バション島にあるムカイ・ファーム・アンド・ガーデン(以下、ムカイ・ファーム)が12月2日、キング郡ダウ・コンスタンティン長官から第20回ジョン・D・スペルマン賞を受賞した。ムカイ・ファームの敷地内にある日本庭園を修復した功績を評するもので、コンスタンティン長官は「文化的に重要な景観を修繕した」と称えた。
この日本庭園は、ムカイ・ファームを1960年代まで所有していたムカイ家のキヌ・ムカイさんが90年ほど前に作り上げたもの。日本式の造園技術に、パシフィック・ノースウェストの植物や岩などが取り入れられ、日本とアメリカの文化が調和した庭園になっている。キヌさんは日本出身の日系一世で、1920年代にイチゴ栽培と画期的な冷凍パッケージ販売で成功を収めたデンイチロウ・ムカイ氏の妻。アメリカ市民権を持つ息子マサさんが16歳になった1926年に、家族でムカイ・ファームの土地を購入し、そこにコロニアル調の立派な自宅を建て、同庭園も作り上げた。
「我々の調査によれば、この庭園は女性が造園したアメリカで唯一の日本庭園です」と、非営利団体フレンズ・オブ・ムカイ代表のリタ・ボーガン氏。「日本庭園にパシフィック・ノースウェストの植物が調和しているのが、とてもユニークです」と続ける。
フレンズ・オブ・ムカイは、ムカイ家が手放した後に荒廃していた農地を修復する活動を2012年から開始し、現在までにコロニアル調の家屋や土地の3分の2ほどの修復を終えている。ワシントン州やキング郡からの公的資金や、個人からの献金を資金に、ボランティアの専門家らが残された過去の写真などを元に修復や復元をしてきた。今後は、約550平方メートルのフルーツ樽工場跡の修復も予定されている。ムカイ・ファームについての詳細はこちら:www.mukaifarmandgarden.org
(室橋美佐)