ワシントン大学日本研究学科による三菱特別講演が13 日、14 日にワシントン大学で開かれた。三菱特別講演今年度のテーマである日本のサステイナビリティについて、建築家の隈研吾氏による講演が行われた。
隈氏は、13 日には地方における建築、14 日には都市における建築の特徴について、自身が手掛けた建築を紹介しながら解説。三菱商事講演シリーズの今年度の最終講演として、連日400人以上が聴講。2020年東京五輪の新国立競技場設計も担当する隈氏への注目の高さが伺えた。
14 日の講演では、東京など大都市において、影や空間、自然を建築に取り入れることで、都会の中でも自然を感じられる設計を作ることのこだわりが語られた。また日本の例以外にも、北京やパリなど世界中で手掛けた建築を紹介。その土地の歴史や特徴を生かし、街に馴染むような建築の重要性を紹介した。
隈氏のこだわりは、2020年の東京五輪主要会場となる新国立競技場の設計にも生かされている。法隆寺からヒントを得たという新国立競技場は、「建物と自然との協調」をテーマに木材をふんだんに使った作りになっており、緑化スペースも設けられている。市民にとって憩いの場となるように、競技場内のスペースの一部は毎日一般開放する予定だという。他にも、五輪大会が暑さの厳しい時期に行われることを考慮し、自然の風を競技場内まで取り込み、競技場の温度を調節する工夫などを説明した。
「幼い時に1964 年の東京五輪のために作られた旧国立競技場を見て、その美しさと自然の光を生かした設計に驚いたのが、建築家を志したきっかけ」と、自身と五輪の思い出についても語った。今回新国立競技場建設に携わることについては、何か運命のようなものを感じるという。
「東京のような大都会においても、建築に柔軟性を取り入れるのが夢」と未来を見据えた、持続性のある建築への思いを語った。
13 日にはワシントン大学アジア言語文学学部助教授のジャスティン・ジェスティ氏、14 日には日本ICU基金理事長のサミュエル・シェパード氏が同席。隈氏の基調講演についてコメントした。
(記事・写真 = 遠藤 美波)