日本の農林水産省主催・在シアトル日本国総領事館共催で1月24日、日本食文化の紹介を兼ねた手巻き寿司調理実演イベント「Let’s try
making 『Hand-rolledSushi』」が開催された(写真英語8面)。同イベントは農林水産省の「日本食・食文化の世界的普及プロジェクト」の一環で、これまでに当地を含めスペイン、デンマーク、マレーシア、カナダの5ヵ国で開催された。
イベントは市内パイクプレースマーケットで行われ、健康に良い日本食の魅力を発信、外食から家庭料理に普及させたいとの思いも込められていた。
農林水産省では2020年までに農林水産物・食品の輸出額を一兆円規模に拡大する目標を掲げており、家庭で作ることのできる日本食を広めることで、海外での日本産食品の需要拡大につなげる狙いがある。同省によると、東日本大震災後に減少した輸出額だが、昨年は7452億円と過去最高を記録するなど規模を拡大している。
当日、早坂直樹領事は長い歴史を誇る和食が2013年にユネスコの無形文化遺産にも認定されたことを踏まえ、「形のないものですが、和食という文化を大切に伝えていきたいと思います」とあいさつ。地元懐石料理店「Naka」の中島正太シェフが講師を務め、和食の概要説明や、懐石料理作成のデモンストレーションを行った。
参加者のテーブルには手巻き寿司の材料が置かれ、中島さんの説明に合わせて、参加者が各自で調理に臨んだ。当日は家族連れも多く、美しい手巻き寿司を作ろうと悪戦苦闘する様子や、楽しそうに次々と作り上げていく参加者も見られた。
日系社会が成熟するシアトル地域は他の米国内の都市と比べ、日本食への関心、理解が比較的高い地域だが、今後は外食から家庭料理としての浸透が目標となる。多岐にわたる「和食」という「形」がないからこそ、正確さや繊細さを伝えることが次の課題となりそうだ。
(岩崎 史香)