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マレー市長が発表 ID治安改善対策案

シアトル市内インターナショナルディストリクト(ID)の治安問題について1日、エド・マレー市長が4つのアクションプランを発表した。昨年、同地域の治安問題に献身してきたダニー・チン氏が殺害されたことを受けての対策となる。

マレー市長は市民の多くが地域公共問題に関して取り組んできたことに感謝の意を表すとともに、「チン氏は我々に治安維持問題には警察人材以上のものが必要であると教えてくれた」と述べている。

対策の中身は「コミュニティーに特化した民間警備員の配置」「地域に根差し、市と民間組織、住民を繋ぐ公共調整員の配置」「治安運営委員会の設置」「警察官と地域住民との関係構築、緊急連絡に対する対応の改善」の4つが軸となる。

シアトル警察のキャスリーン・オトゥール署長はシアトル南地区で警察官調整によって得た治安問題改善点を生かし、IDでも同様に複数の対策を実行していくことを約束している。同署長は6月23日のコミュニティー安全対策会議にも出席、地元関係者と話し合いを持った。

同所ではごみ問題も公共問題と深く結びついてくる。マレー市長はIDに加え、バラードの2地区で新たな清掃対策を講じることを発表。「シアトル公共事業(SPU)」清掃員による隔週でのごみ拾いのほか、ごみ箱の配置増加や、不法投棄を取り締まるために地域協力も促す見込み。関連インフラ投資に関しては、市の担当課と新設される公共対策運営委員会によって運営される。

IDの保存、開発を担う非営利団体SCIDPDAのマイコ・ウィンクラー・チン事務局長は移民や高齢者を中心とした住民が他地域の住民と同じように市サービスを供給できていないと感じている現状を指摘。近隣の治安改善に加え、孤立を感じる住民と市サービスを結びつけることを期待する。

シアトル商工会議所関係者は、IDが快適な歩行、購買環境を整える上で市の公共対策は不可欠と話す。

(大間 千奈美)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。