薄暗く、冷たい雨が降る19日午後、「ネバー・アゲイン─日系人収容の歴史とイスラム教徒の現状─」と題する討議会がシアトルセンターで行われた。1200脚用意された椅子はたちまち埋め尽くされ、立ち見する参加者も多くいた。
第二次世界大戦中、「敵性外国人」として12万人以上の米国生まれの市民を含む、日系人の強制退去を認める大統領令が署名されてから75年を迎えた。デンショーやシアトル公共図書館主催のイベントでは、パネリストや参加者の多くが、第二次世界大戦中の日系人収容の歴史を繰り返さぬよう訴えた。 また、これに先立って発令されたトランプ大統領による移民政策、イスラム教徒への迫害や偏見が増す現状を危惧する演説も行われた。
パネルディスカッションには、パラミラ・ジャヤパル連邦下院議員、デンショ―のトム・イケダ事務局長、とイスラム系米国人支援組織「CAIR」ワシントン支部のアラサラン・バクハーフ会長が登壇、日系人収容の歴史を踏まえたトランプ政権の動きやイスラム教徒の現状・サポートなどについて語った。
ポエトリーリーディングなどで活動をするトロイ・オオサキさんは、イベントの最初で舞台パフォーマンスを披露。「過去と現在をつなぎ合わせることは非常に重要。さまざまな世代の人が集まってくれて嬉しい」と語った。
新しい大統領政権下、アメリカの汚点とされるこの過去から75年を迎えた今、人々はもう一度その暗い過去を見つめ直す必要があるのではないだろうか。
(大住 磨緒)