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75周年行事

今月初めに行われたミネドカ日系人収容所跡地への旅の写真が知人から送られてきた。今年は収容所生活が始まった1942年から75年。参加者も多く、例年通りイベントは大成功となったようだ。

筆者が参加したのは10年ほど前。当時は収容所経験者には二世の復員軍人の姿もあった。集合写真に写る参加者の顔ぶれは変わってきている。白髪目立つ収容所経験者も、幼少時に収容所を過ごした関係者が多くなった。思い出の共有、旅の意味合いも変わってきているだろう。

毎年学生も多く参加する。奨学金を受け、プログラムの運営に関わる。それぞれが旅の経験をコミュニティー内外に伝えるプロジェクトも抱える。過去、本紙からも記者インターンが参加、各々が紙面で自身の経験を紹介してきた。

「節目」の今年、次なる一大行事は、ピュアラップ市で開催されるフェアとなる。9月2日、日系市民協会(JACL)ピュアラップバレー支部を中心としたキャンプハーモニー75周年行事実行委員会によるイベントが開かれる。会場内コカ・コーラステージで午前10時から。同イベントの参加無料チケットも入手できる。

毎年行われるフェアの会場は、1942年4月から9月まで一時集合所(アッセンブリーセンター)として、シアトル周辺からの日系関係者7500人以上が収容された。戦時中のヒステリーの中、鉄条網に囲まれた集合所は、収容者たちが我慢強く、協力し合う姿から、皮肉にも「キャンプ・ハーモニー」と呼ばれた。中には高校、大学など、門出の卒業式を1カ月後に控える学生もあった。

以前、デービッド・ヤマグチさんによる英語面コラムで紹介があったが、この大規模フェアでは、依然として日本、日系の存在感は小さい。沖縄太鼓の演奏や生け花展示といった文化紹介はあるが、そのほかは「カミカゼ」という名を冠したアトラクションといったものが中心。日系人集合所については地元芸術家の故ジョージ・ツタカワさんのパブリックアートを残すのみだった。

今フェアでは期間を通じて特別日系展示会も行われる。「再開」イベントとして終わるのではなく、日系に普段触れることの少ない層に届く行事になってもらいたい。

詳細はwww.thefair.com/pacwww.puyallupvalleyjacl.orgまで。
(佐々木 志峰)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。