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シアトル市でソーダ税導入 議論呼ぶ課税対象

砂糖を含む飲料などに課税する「ソーダ税」が、1月1日からシアトル市で導入開始となった。税率は一律1オンス当たり1.75セントで、たとえばコーラ缶12本パック(1本あたり12オンス)の場合は代金に2.52ドルが上乗せされる。課税対象は主に、ソーダなどの甘味飲料、スポーツドリンク、エナジードリンクなどだ。

導入の背景として、米国内の肥満や糖尿病人口の増加と、健康に悪影響を与える商品への課税が世界的に広まっていることがある。ソーダ税はシアトル以外に、カリフォルニア州の数都市やフィラデルフィアなど全米7都市でも導入されている。導入地域では、近年の健康志向の高まりも相まって、加糖飲料の消費が急減したという。

シアトル市はこの課税で約1,500万ドルが最初の1年で得られる見通し。税収は同市が進める「フレッシュ・バックス・プログラム」の財源に充てられる。同プログラムは、低所得住民の食料不足改善を目的とするもの。低所得者住民がフードスタンプを使って、ファーマーズ・マーケットなどから地元の新鮮な農産物を購入できるようにし、より栄養バランスの整った食生活を提供する狙いもある。

全米でもじわじわと浸透するソーダ税。主力商品を狙い撃ちされた大手飲料メーカーはもちろん、シアトル市外で購入する客が増えることで市内小売店への打撃も大きい。また、その有効性に疑問を投げかける声もある。シアトルはスターバックスを筆頭にカフェ文化が盛ん。コーヒーにクリームやシロップを使用したメニューも多く、市議会でも課税対象の定義が議論となった。バリスタが作るシロップ入りコーヒー、ダイエットソーダ、果汁100パーセントのジュースなどは対象外となっていることについて、「健康志向に乗っかっただけ」と反対票を投じた議員もいる。今後もしばらく議論は続きそうだ。

(文:小林真依子)

編集ライター。金融機関で勤務の後、留学のためシアトルへ。毎日の小さな「オモシロイ」を求めて日々シアトルを探索中。テクノロジーの町にいながらアナログを楽しむ関西人。