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イスラム教徒への偏見   過去の日系移民差別に重ねてディスカッション

近年のイスラム教徒への偏見を第二次世界大戦中に日系移民が受けた偏見と重ねて、偏見や差別の撲滅に取り組むためのパネル・ディスカッションが8月5日、日系二世退役軍人ホールで開催された。パネラーとして、アメリカン・ムスリム・エンパワーメント・ネットワークの創設者でエグゼクティブ・ディレクターのアニーラ・アフザリ(Aneela Afzali)氏や、日系アメリカ人市民同盟(JACL)シアトル支部次期会長のジョセフ・ラックマン氏など6人が登壇した。
「ある日アルカイビーチの遊歩道を歩いていたら、突然、近くを通った車の中から『自国に帰れ』と罵倒された」と差別の経験を語るアフザリ氏。アフザリ氏は幼い頃にアフガニスタンのカブールから難民として家族と共にアメリカへ移住し、オレゴン州のポートランドで育った。「第二次世界大戦後に日系人が受けた差別と同じ扱いを今のイスラム教徒は受けている」とアフザリ氏は訴えた。
パネラーたちはそれぞれの想いを述べ、真珠湾攻撃や911(アメリカ同時多発テロ)などの歴史的出来事が自分たちの生活にどのような影響を与えているかを語った。「かつては誰もアフガニスタンの位置さえ知らなかったが、911が全てを変えてしまった」と話すアフザリ氏。事件当時に通っていたハーバード大学法科大学院の寮でテロのニュースを目にし、「恐怖と不安で泣き出してしまった」と事件当日を振り返る。「白人以外のコミュニティーの誰かが悪いことをすると、コミュニティー全員に反映されるが、良いことは同じように反映されないようだ」と付け加えた。
アフザリ氏は、イスラム教徒の若者たちへの影響への懸念についても語った。「心の傷や感情的なトラウマは我々全員が配慮する必要がある」とアフザリ氏。「人種や宗教の壁を乗り越え、過去にマイノリティーが受けた経験を共有することが、我々の権利と自由を守る最善の方法である」と表明し、「もし歴史を忘れてしまったら、我々はそれを繰り返すことになるだろう」と締めくくった。
(文=ニック・ターナー
訳=島涼介)

N.A.P. Staff
北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。