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ヤキマ演習場で日米共同訓練 シアトルで自衛隊員と二世ベテランが交流

現在の日米の連携を祝すと共に日系2世退役軍人(二世ベテラン)を称えるレセプションが9月8日昼、ワシントン州日米協会の主催で開かれ、会場は日米の若い兵士・隊員であふれた。シアトル市内の二世退役軍人会館に集ったのは、第二次世界大戦で米陸軍の442部隊や情報兵士などとして活躍した二世ベテランとその家族、そして日米の兵士・隊員、関係者らの計約200人。兵士たちは、シアトルから南東120マイルの地点にある広大な米軍ヤキマ演習場での日米共同訓練「ライジング・サンダー」参加中の米陸軍兵と日本から来た陸上自衛隊員だ。ヤキマ演習場での日米共同訓練は今年で25年目、ライジング・サンダーと呼ばれるようになって11回目となる。ヤキマ演習場は東京23区に匹敵する膨大な広さで、全米各地からの部隊の戦闘演習に使用されている。今回は、イリノイ州から第2歩兵大隊/第33歩兵旅団戦闘団約380名が、また北海道から北部方面隊第25普通科連隊の約120名が参加。3週間の訓練に従事している。レセプション当日は各隊から50名ずつが参加。日系兵士の歴史を刻む展示などを見学した後、プログラムに臨んだ。

二世退役軍人会元会長のアレン・ナカモトさんの司会で始まったプログラムでは、ウォルター・タニモト現会長の歓迎の挨拶後、米軍ルイス・マコード統合基地のザビエル・ブランソン第7歩兵師団長と自衛隊の大野木秀樹第2師団第25普通科連隊長がそれぞれ、「ゴー・フォア・ブローク(当たって砕けろ)」を合言葉に活躍した日系兵士を称え、日米連携で訓練を行うことの重要性についても語った。続いて、山田洋一郎在シアトル日本国総領事が日米の現在の結び付きの強さを紹介すると、ワシントンDCから飛来した国務省のマーク・ナッパー日韓担当国務次官補代理は、日米2国間の関係の強さはこれまでで最高と強調。日米協会連合会のピーター・ケリー会長もワシントンDCから飛来して、日米協会が米国ササカワ平和財団の支援を受けたJUMP(日米軍事関係者交流プログラム)と協力し、このような親善プログラムを推し進めていることを紹介した。

昼食は、ホットドッグや寿司などが並ぶ日米ビュッフェ。彩りよく並んだ巻き寿司に「これは何が入っているのだろう」とためらいつつ手を出す若い米兵の姿も見られ、日米の交流・理解はまず食に始まった様子。今年92歳で死去したサム・ミツイさんの語りによる回想ビデオ「良い物は馬の肥やしの中で育つ」も上映され、強制収容所から出征した日系兵士のたどった苦難の道には、参加者の誰もが胸を打たれた。イリノイ州から参加の米兵も日本の自衛隊員も「このような過去があったことは知りませんでした」と語り、今後も機会あるごとに多くの人に見てもらいたい作品となった。

16名の二世ベテランに敬意を表した後は沖縄県人会太鼓による演奏や踊りを楽しみ、最後は記念撮影。出席者の大半は、残り1週間となった共同訓練のために再びヤキマに戻っていった。

(楠瀬明子、写真提供:JASSW)

福岡県出身。1988年から99年まで北米報知編集長。