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ホームレス収容施設 リトル・サイゴンに開設

Tents under I-5 overpass by Seattle.gov

文:島 涼介

シアトル市が運営するホームレス収容施設が7月12日にインターナショナル・ディストリクト内のリトル・サイゴン地区に開設された。ホームレス増加が深刻な問題になるなか、ホームレスに必要な居住サービスを提供して野外生活者を削減しようという市の狙いだ。しかし、リトル・サイゴン地区の住民や商業団体は同施設の設置に断固として反対してきており、近隣コミュニティーの意向を押し倒す形で市が開設に踏み切った。

キング郡による調査によると、シアトル市内には2017年1月27日時点で8476人のホームレスが住み、そのうち3857人は公園や路上に寝泊まりをしているという。シアトル市としては、同施設開設で、路上生活者を減少させて、市街地の治安や衛生面の向上を期待している。

ホームレス向けサービス施設は、一般的には臨時的に居住サービスを提供するもので、夜間に限ってベッドとシャワーを提供する施設が多い。しかし同施設では、年中無休の24時間体制でホームレス収容が行われる。およそ75人分の収容スペースが設置され、入居者は最大60日間滞在することが出来る。継続的に施設に入居し、日中も滞在が可能という点で、他の臨時受入れ施設とは大きく異なっている。

同収容所開設に反対しているリトル・サイゴン地区の近隣コミュニティは、同地区の治安悪化、それによる商業活動や居住環境への悪影響を懸念している。ホームレス収容施設開設には、市内のあらゆる地区が拒絶をしてきた。そうしたなかで、リトル・サイゴン地区での開設が押し切られたことは、同地域に住むアジア系住民への差別であるとの声も大きい。リトル・サイゴン商業地区は、過去数年間に渡って実施された公営住宅イェスラー・テラスの再開発工事や路面電車開通工事で、商業環境に打撃を受けてきた。近隣コミュニティは、ホームレス収容施設開設はこれまでの悪環境に追い討ちをかけるものと強く懸念している。

(島涼介)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。