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『日系アメリカ人ゆかりの地ガイド』

ガイドのイラストと地図をデザインした中村有理沙さん

インターナショナル・ディストリクトのジャクソン・ストリートとメイン・ストリート周辺に残るシアトル日本町。20世紀初頭には、パイオニア・スクエア東側からセントラル・ディストリクト南西側までが日本町と呼ばれ、最盛期には8,500人程の日系移民がそこに暮らし、ビジネスを営んでいた。そんな日本町の過去と現在をめぐる『日系アメリカ人ゆかりの地ガイド』が3月からウィング・ルー
ク博物館、ワシントン州日本文化会館(JCCCW)、クロンダイク・ゴールドラッシュ国立歴史公園で配布されている。同3団体をまたぐプロジェクト・チームが、シアトル市の協賛を受けて完成させたガイドマップだ。

42件の日系アメリカ人ゆかりの地がイラスト豊富なマップで紹介されており、まねきレストランやシアトル日本語学校ほか現存するスポットから、1925年まで日本人向け総合病院として営業を続けていたリライアンス病院など今は存在しないスポットもある。「このガイドを見て、ここで暮らした当時の日系移民の生活を想像しながら、町を歩いてもらえるとうれしい」と話すのは、同プロジェクトのグラフィック・デザイナーとしてウィング・ルーク博物館に採用され、地図やイラストを制作した中村有理沙さんだ。

「たとえば、パナマ・ホテルの地下に湯舟が残る銭湯『橋立湯』は、野球の試合や夕食会のあとにみんなで立ち寄る社交の場だったそうです。かつてそこにあった光景が目に浮かぶようですよね」。有理沙さんは、ワシントン大学でランドスケープ・アーキテクチャーを学び、日系、中華系、フィリピン系、ベトナム系移民グループのインターナショナル・ディストリクトとの関わりを研究した。そこでスケッチしたイラストも同ガイドで使われている。「150年以上にわたってマイノリティー移民を受け入れてきたインターナショナル・ディストリクトは、それぞれの民族グループにとって大事な場所と、民族グループ間での交流の場となってきた場所とが、それぞれの時代を経て何層にも重なって形成されています」

ガイド配布に加えて、ウィング・ルーク博物館では日系アメリカ人ゆかりの地を巡るウォーキング・ツアーを実施している。家族、友人、学校でグループ・ツアー予約も可能。同ガイドはまだ英語版のみだが、日本語版も今年5月には配布予定だ。

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。