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シアトルの公立高校卒業率、初の80%超え

ワシントン州で最大の学校区であるシアトル学区で、2017-2018アカデミックイヤーの高校卒業率が82%となり、去年より3%上昇したことが11月15日に発表された。過去5年間では11%の上昇で、中でも非白人系マイノリティー学生の卒業率の増加(15%)が目立ったとしている。

アメリカ合衆国教育省内の教育統計センターによると、全米における最新の高校卒業率データは85%(2018年5月現在)だが、ワシントン州では79.3%となっている。シアトル学区も全米平均を下回るものの、近年着実に上昇しており、2018年は初の80%超えとなった。一方で、白人やアジア系学生が多いイーストサイドのベルビュー学区は91%、イサクア学区は92.7%となっている。

シアトル学区は高校卒業率が向上した要因について、教育現場における生徒との良好な関係構築、主体性を高めるプロジェクト・ベース学習の実践、すべての生徒が質の高い教育を受けられる環境の整備、個々のゴールを支援する体制、教育ギャップをなくす取り組みが功を奏したと分析。高校卒業後、大学進学を選択する生徒も増えており、2016年には71%だったところ、2017年には74%の生徒が2年制または4年制の大学に進学したとのデータも示。

シアトル学区はこれまで、人種間での教育機会の格差が問題となっていた。白人とアジア系学生の卒業率は80%以上である一方、非白人系のマイノリティーであるヒスパニック系、太平洋諸島系、ネイティブ・アメリカン系、アフリカン・アメリカン系の卒業率は50%程度であった。家庭環境や授業についていけないという理由で、不登校や中途退学と学業をあきらめるケース。また教師が人種的に多様でないことも、非白人系生徒の学業に影響していたという。2013年11月に5カ年計画で教育ギャップを改善していくと宣言し、学区内の教育改革を開始してから、今年は5年目に当たる。シアトル学区は今後も格差をなくす取り組みを続けていくとしている。また、2018年に最も優れた教育例が見られた高校として、以下の3校を発表している。ネイサン・ヘイル高校(88.7%/ノース・シアトル)、レニアビーチ高校(88.6%/レニアビーチ)、クリーブランド高校(95.8%/ビーコンヒル)。

(小林真依子)

編集ライター。金融機関で勤務の後、留学のためシアトルへ。毎日の小さな「オモシロイ」を求めて日々シアトルを探索中。テクノロジーの町にいながらアナログを楽しむ関西人。