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日本の若者が当地で農業研修  修了式、レセプションを開催

米国派遣農業研修(JATP)プログラムの修了式およびレセプションが、10月8日に在シアトル日本国総領事館で行われた。同プログラムは、国際的感覚と実践力を兼ね備えた日本の農業者の育成、そして日米両国相互理解の増進を目的として、公益社団法人国際農業者交流協会(JAEC)により実施されているもの。研修生は、ワシントン州中部にあるビッグ・ベンド・コミュニティー・カレッジ(BBCC)にて語学や農業の基礎知識を習得した後、農場での実地研修、カリフォルニア大学デービス校での専門学習に臨んだ。

修了式冒頭では、村澤 武首席領事が、関係者への謝辞ほか研修生に対する今後の期待についてスピーチ。続いて、テレンス・リーBBCC学長、研修生受け入れ農家代表としてデイビッド・ラップンさん、吉川 隆JAEC米国事務局長が、同研修の意義や日米両国における農業の今後の展望について述べた。

修了証書を受け取った49名の研修生からは、19カ月に及ぶ研修を終えた達成感と喜びの表情がうかがえた。また、その後のレセプションでは、ホストファミリーや他の研修生とにぎやかに食事を楽しむ様子が見られ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていた。

鹿児島大学農学部3年の園田健人さんは、大学を休学して同プログラムに参加。配属先のゲバース・ファームでは、収穫した果物の管理方法について学んだ。「日本は良質なものを作ることに重きを置きますが、マーケティングは比較的手薄。一方で米国は、商品の質に完璧さを求めず、マーケティングに力を入れる傾向にあります。研修中は、農業に対する日米の意識の違いが強く感じられました」と話した。

同じくケバース・ファームで研修を受けた東海大学農学部卒の井上奈緒子さんは、肉牛に関する業務に従事。餌やりやトラクター作業に加え、牧草地から別の牧草地へ牛を移動させるカウボーイの技術なども学べたと言う。「農業に対し、米国の人たちは誇りを抱いています。しかし日本では、『汚い』、『古い仕事』といった印象が強いように感じます。帰国後は、そのようなイメージを変えていきたい」と話す奈緒子さんにとって、最大の目標は「熊本県の赤牛を世界に広めること」。そのためにも、今回のプログラムで築いたネットワークを今後生かしたいと、将来の展望について語った。

(小川祐理子)

2017年上智大学卒。在学中はフランス語を専攻し、リヨンへ留学。卒業後は公益財団で2年間勤務したあと、留学する夫に付き添いシアトルへ。これまで旅した国約30カ国、訪れた日本の飲食店約750軒というほど旅行と美味しいものが大好き。