外務省は昨年7月、日本と諸外国の友好親善関係に貢献した日本国内外の206個人、63団体への令和元年度の外務大臣表彰を発表。シアトル地域では、米国において広く柔道を普及させたとしてシアトル道場と武道館道場が選ばれた。同12月13日にシアトル総領事公邸で表彰式が開催され、両道場から多くの関係者が出席した。
シアトル道場は1903年に創設された北米最古の道場。第二次世界大戦中に閉鎖されていた一時期を除き、100年以上にわたり柔道の普及に携わった。シアトル道場のアレン・ヤマダ氏は、「長く続いた柔道指導の末、その努力が公式に認められたことはうれしい」と語った。また、武道館道場は1968年に創設されて以来、オリンピック米国代表選手を多数輩出し、国際柔道連盟や米国柔道連盟のコーチ、国際裁判員資格を持つ師範も多く在籍する。武道館道場のカルビン・テラダ氏は、「シアトル道場と共に受賞できたことはとても素晴らしい」と話した。
柔道は伝統的な礼儀作法を守りながら練習をすることで日本の文化そのものに歩み寄れるスポーツ。両道場は、ワシントン州、ひいては全米に広く柔道を伝え、日本との友好親善関係作りに功績を残したとして表彰が決まった。山田洋一郎シアトル総領事は「シアトルにおける柔道指導の歴史は日系移民の歴史と同じくらい長く、日本人同士の心をつなげ、絆を深めてくれたことは、コミュニティーにとって大変意味深いことです」と述べた。
表彰式には、2008年の北京大会、2016年のリオ・デ・ジャネイロ大会で銅メダルを獲得したオリンピアン、中村美里選手も招かれた。「長い歴史を持つ２つの道場が表彰され、大変な偉業を成し遂げられたのだと感じています」と話し、9月からのシアトル滞在についても「道場や幼稚園で大人から子どもまで幅広く柔道を教える中で、生徒たちの成長を感じられたことは、日本の生活ではなかなかできない貴重な経験でした。あっと言う間に終わってしまい、充実の3カ月を過ごせました」と笑顔を見せた。
