シアトル美術館(以下SAM)は10月1日、2017年より改修工事のため休館しているアジア美術館(以下SAAM)の営業を、2020年2月8日に再開することを発表した。翌9日を含むグランドオープニングの週末には、一般参加無料の完成祝賀会開催も予定している。
キャピトルヒルのボランティア・パーク内に立地するSAAMは、当初SAMとして1933年に建造された。1991年、ダウンタウンにある現SAMへのメイン・コレクション移管が決まり、1994年にSAAMとして再オープン。北米では数少ない、アジアに焦点を当てた美術館のひとつとして、世界的にも知られている。また、そのアールデコ調の建物は、歴史資産としての価値も高い。ただ、インフラやバリアフリー設備などに致命的な問題があるとし、2017年2月27日に、全面改修に加え、館内の拡張工事を開始した。
設計は、地元シアトルのデザイン事務所で2016年のAIAナショナル・ファーム・アワードを受賞しているLMNアーキテクツ、そして、これまでアマゾン本社キャンパスやポートランド日本庭園などを手がけるランドスケープアーキテクト事務所、ウォーカー・メイシーの2社が担当する。歴史的アイコンとしての建造物の美しさはそのままに、モダンな美術館として新しく生まれ変わる。最終総工費は5,600万ドルを予定しており、建物の所有者であるシアトル市、ワシントン州、キング郡の公的機関からの援助と、個人からの寄付でまかなわれることになる。
改修後の新ギャラリー・スペースは、現行の1万2,276平方フィートから1万6,173平方フィートに拡張され、同館総面積は6万4,250平方フィートにも及ぶ。コレクションは新たに「Boundless: Stories of Asian Art」と題し、国ごとの垣根を取り払った12のテーマに沿って展示される。また、ボランティア・パークとのつながりを意識した、緑の眺望が楽しめるガラス張りのロビーや、コミュニティー・ミーティング・ルームなども設けられる。完成祝賀会の入場券予約は12月初旬より開始の見込み。
(情報・写真提供:シアトル美術館)