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残り1カ月

11月を間もなく終え、波乱の2020年はあと1カ月を残すのみとなった。新型コロナウイルスの猛威は本格化し、感染者数は増加の一途をたどる。風邪のシーズンに入っているだけに油断はできないが、身の回りにあまりに大きな変化が訪れた1年が終わろうとしている。

 先日久々にベルビューのダウンタウン周辺に行く所用があった。ライトレール工事の進行とともに路線近くに新たな商業施設が建ち、以前とまた異なる姿を見せていた。ベルビュー以外の各所でも新路線の建設が着実に進んでいる。フリーウェイ脇で進む建設工事からも、シアトル地域における2020年代の姿を確実に認識できるようになってきた。

 一方で、公共交通の現場からは厳しい声も聞いた。メトロのバス運転手をする知人によると、バス利用者が大きく落ち込んでいるという。原因は新型コロナウイルスなことは明らか。近隣を走っていたバスは見る限りほとんど利用者がなかったが、今秋に別路線に吸収される形で廃線となった。

 乗車時には全員がマスク必須となるが、どのような利用者があるか分からない。エッセンシャルワーカーだが、この知人もリスクを感じながら仕事を続けている。運転席と乗客の敷居には通常シールドが取り付けられているが、ないものもあるという。

 米国海洋大気庁によると、ノースウエストの今回の冬は例年よりも冷え込み、雨量も多いとの予測を出している。ラニーニャ現象の発生が要因で、地元ニュースKOMOによると、19 80年以降でラニーニャ現象が発生した際には必ず降雪があったという。一方、来春以降からは例年に比べて温暖な気候になるとしている。

 大統領選挙に関するこの3週間弱を見ても、前代未聞の状況が続く。すべては「2020年」として受け止めるようにしているが、記憶に残り続けるだろうこの1年をどのように終え、次の1年を迎えられるか。まずは身の回りの対策をしっかり講じ、静かにホリデーシーズンを迎えたい。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。