By 佐々木 志峰
9月を迎え、いよいよ大統領選挙が近づいている。「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」なる言葉が持ち上がる。「内向き」、「外向き」の意識も大きく問われる2カ月となる。
そんな中、日本での「内向き」現状に関する話を耳にした。米国赴任した同業者らとの会話で、海外転勤を希望する若い社員が減っているという話題が出た。日本国外は旅行で十分という考えなのか、だがそれもまた円安が足かせとなっている近年。小さな例とはいえ、日本国内での流れを示す意味で印象に残った。
海外意識という面で米国における留学生の統計を見てみた。米国国際教育研究所のレポートによると、日本からの留学生数は2022〜23年度で1万6054人。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が薄まってきた年であり、前年から約3300人増やした。国別で見ると、全体で8位になる。
データを読み込むと、さらに興味深い。米国への留学生総数は2022〜23年度で105万7188人。新型コロナウイルスの感染症拡大で2020〜21年度から2年続けて割っていた100万人を回復し、傾向としては右肩上がりに人数を伸ばしている。中国が29万人弱で最多。インドが前年から7万人弱増やして27万近くと、この2国で留学生全体の半数を超える。日本の隣、韓国は4万3千人強。
受け入れる学校機関ではニューヨーク大学が2万4千人強で1位。有名大学が上位にずらりと並ぶ中で、当地ではワシントン大学が1万198人で12位に入った。学位レベルでは大学院の修士課程が約8万千人と増え、大学留学に約12万人の差をつけた。専攻は数学・コンピューターサイエンス、エンジニアリング、ビジネス・マネジメントが多い。
米国から海外への留学生についても統計があった。人数は同じく右肩上がりにあったが、例によって新型コロナウイルスの拡大で一気に落ちた。最も新しいデータは社会が動きを取り戻し始める2021〜22年度のデータなため、参考にしにくい。少なくとも、日本は国別で上位に入っていない。イタリアが3万人あまりで最多。その後に、英国、スペインが続く。全体として短期留学が圧倒数を占め、夏季のみが約半数という。